ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

ニヴィタシィとダンジョウ【16-2-3】

ダンジョウは状況が掴めず まだキョトンとしていたが 少しずつ飲み込めてきたようだった ぼくはダンジョウヤマトです よろしく テンムスは… えと、珍しい模様の髪飾りをして ビードロみたいな耳飾りの ちょっとつり目の女の子 見ませんでしたか? ここには来…

奇跡のベール【16-2-2】

ヘッドと呼ばれる男は 下っ端に指示を出し ダンジョウとタヅクリを 手術台へ寝かせた 男はダンジョウの着ていた 衣服を脱がせると驚いた げっ、こりゃあひでぇな 皮膚が爛れてぼろぼろじゃねぇか おまけに服にも張り付いてやがる ジジイの方はまだ大丈夫そう…

ギャングのおカシラ【16-2-1】

ダンジョウとタヅクリ博士は 自転草に乗ったギャングたちに 連れられて街へやって来た 東や西の都市とは また違った造りの建物が 軒を連ねる大都会だ ギャングたちは 自転草を乗り捨てると メインストリームから一本外れた 路地裏へと身を潜めた ヘッド 荒野…

自転草を駆るものたち【16-1-4】

タヅクリ博士とダンジョウは なんとか溶岩ダムの外へと出た 辺りは荒野で どちらかと言うと砂漠に近かった しかしながら タヅクリも心力を ほぼほぼ使い果たしてしまった ふたりとも動けずじまいだ "こやつを助け出すのに必死で 後のことはまるで考えとらん…

満身創痍のふたり【16-1-3】

一方、溶岩ダムの ダンジョウとタヅクリはというと タヅクリは心力コーティングが 剥がれかけ 汗をダラダラかいていた ダンジョウは 完全に心力を使い果たし 交信もままならない状態だった 無事着いたは良いが このままじゃと ふたりとも消し炭じゃ! タヅク…

闇に包まれた愛情【16-1-2】

テンムスは 先ほど打ち込まれた拳が まだ効いていたので 思うように声を出せなかった 嬢ちゃん なかなか良い顔しているじゃねぇか その男は 太い指でテンムスの顎を くいともちあげ まじまじ覗き込んだ おっと失礼 紹介がまだだったな わたしはカンローニ こ…

北西の都市【16-1-1】

さながらアールデコ調の 高層ビルが軒を連ねる 北西の都市 人々が静かに 宇宙と交信を始める頃 テンムスは 路地裏の迷宮を駆けていた 彼女は今まさに 西のプラントから逃亡を図った プラント総括長シャオビンとの 戦闘中だった シャオビンは巨大な図体をして…

那我走了【15-4-4】

身体を心力でコーティングしても 熱気は伝わってくるなぁ ダンジョウは汗をダラダラかいていた 下を流れる溶岩以外 障壁になるようなものは なにひとつなかった… はずだった なんか輸送路が 狭まって来ているような 感じがするのは気のせいじゃろうか? うん…

溶岩滑走【15-4-3】

やっぱり溶岩の近くは暑いなぁ… ダンジョウは空から降り立った瞬間に どっと汗を流した 一方のタヅクリは あまり変化がなさそうだ ダンジョウたちが 降り立った瞬間から 辺りには侵入警報が鳴り響いている 溶岩輸送路を移動するんでしょう? 早いとこ行かな…

任務遂行【15-4-2】

ダンジョウたちは 無事にUFOに乗り込んだ 席に着くと 早速UFOが離陸した 全方位心力ヴィジョンで まるで席につきながらにして 空を飛んでいる感覚である 観光客たちは その非日常的な光景を見て 歓声を上げていた 一方のダンジョウはというと 飽きるほど乗っ…

円盤乗場【15-4-1】

ダンジョウとタヅクリは プラントへ向かう足掛かりを 探していたが もう人力車は懲り懲りだった そこで いちばん初めに この土地に来た際に お釈迦にした UFOを捕まえることにした UFOであれば乗り心地も良いし 何より怪しまれずに済むのである ふたりとも …

廃品回収【15-3-4】

タヅクリ博士とダンジョウは 西の都市のジャンク市場に来ていた どうやらここでは 地上から流れてきた部品が 選り分けられずに そのまま投げ売りされているようだ 博士、こんなとこ来てどうするのさ? ほっほっほ 一度じっくり見てみたかったんじゃよ なにし…

急回善急【15-3-3】

ダンジョウたちは 宿を後にしたものの あてがなかった 次の場所は分かるけど そこに行くには どうすれば良いだろう 次は北西の都市じゃな ここや東の都市に引けを取らない 大都市じゃぞ また都会かぁ 正直豊かな自然が見たいところだよ もう一日経ってしまっ…

休息用蛹【15-3-2】

翌日 巡査部長のシャッケイは 有給休暇をとって 未来博覧会へ来ていた 昨日 タヅクリ博士が 勾玉で見ていた場所だ 何より注目は 新型休息ポッドの体験会である イモムシカーのノウハウを用いて 開発された次世代機器だ 若返りなども期待されていると言う ポ…

束間休息【15-3-1】

プラントの一件から数日後 ダンジョウとタヅクリ博士は 運良く宿に泊まることが出来た 西の都市は観光客が 絶えず往来しており 宿をとるのは至難の業なのだ ダンジョウはベッドに突っ伏していた 地底の人々は交信で 体力を回復するが 寝床は休息用として必要…

輪廻転生【15-2-4】

ウナージュは来る日も来る日も 彼のことを思い出した けれども来る日も来る日も 彼は帰っては来なかった 途方に暮れていた彼女は 彼の死因を突き止めようとした あの時同じ場所で 彼が関わっていた人物 流石に個人で調べては きっと彼の二の前になるだろう …

回想階層【15-2-3】

その男の名前はサンショウ 行く当てのなかったウナージュは そのまま彼の家の居候になった ともに生活して行くうちに ウナージュのなかには 今まで感じたことのない感情が こころの底から 沸々と湧き上がって来た 冷たく流れていたウナージュの血液は 次第に…

記憶回路【15-2-2】

ウナージュは貧困地区の 貧しい家庭に生まれた それゆえ満たされないままの 毎日を送っていた 自分のこころを 満たしてくれるものを探して 好奇心の赴くままに 悪事にも手を染めた しかしながら 彼女のこころが 満たされることはなかった そればかりか 次第…

人命救助【15-2-1】

ウナージュは 口から血を流しながら その場に崩れ落ちた ウナージュ!! シャッケイはすぐさま駆け寄ると 彼女を抱き上げた しっかりしろ!! なんてこった…!! シャオビンは チュローズの持っていた 鏡の断片を即座に拾い上げ 空間切開チョークで開けたホ…

地獄伴侶【15-1-4】

さながらゾンビな 植物人間たちは ダンジョウたちに襲いかかった スピードはさほど早くないが チュローズとの間にいるので かなり煩わしい しかも理性がないから 溶解液などの攻撃には 容赦がない 床は次第に溶けて 窪みだらけになって行った ここで勾玉を使…

業火沈静【15-1-3】

チュローズが天井に 蔓を叩きつけると プラント内の 冷却装置に繋がるパイプが破れ 水が噴き出して来た モルフェン畑に引火した炎は 瞬く間に鎮火し 消し炭になったモルフェンと 黒焼きになったカタツムリバイクが 姿を現した シャッケイが心力で誘引した炎…

火炎放射【15-1-2】

ダンジョウたちは チュローズの蔓から解放された ぎゃあああああ!! チュローズの 断末魔のような叫びが プラントのラウンジに響き渡った 蔓はどうやら彼女と繋がっていたらしく シャッケイの炎が燃え移ったようだ シャッケイさん、来てくれたんだね あの炎…

着火心火【15-1-1】

この世界で生きていて 徳なんてないさ どんどん つらくてみすぼらしい思いになる けれどもそのなかの ほんの何気ないことに 幸せを感じることだって あるんだぜ 少なくとも 俺はそのために毎日を生きている その積み重ねが 大きな幸せに繋がるんだ コヴさん …

理由説明【14-4-4】

署の物品整理の時 コヴさんの机の 鍵のかかった部分が UFOが突っ込んだ衝撃で 壊れて空いてたんだ そんで 偶然見つけちまったんだよなぁ モルフェンが 大量に入ってたのを そっから俺は独自に捜査してたんだ まずアンタの身内から洗いざらい探して 辿り着い…

鏡断片Ⅲ【14-4-3】

モルフェンの花は 硝子のショーケースのような場所に びっしりと栽培されていた そして この部屋一帯も硝子で覆われていた アオダンは 時が止まったかのように 黙り込んでいた マッチかなんかないの? ダンジョウが訪ねると そんなものないわ 火打ち石が有れ…

至栽培地【14-4-2】

少し奥まった地下通路にある 錆びついた扉を開くと パイプだらけの通路に出た 先程までいたマンションの ボイラー室とよく似ていた あなたたち 熱には弱いくせに 生暖かいのは得意なのね なかなか敏感とも 言えるのかしら ウナージュは植物人間のアオダンに …

異臭騒動【14-4-1】

ダンジョウたち三人と 公安警察のコヴとウナージュ 蛮三會組員の植物人間 イモムシカーの車内は 定員オーバーでぎちぎちだった 本当は規定違反なんだがなぁ まぁそんなことも言ってられんから 今は目を瞑るとするか コヴが仕方なさそうにため息をついた それ…

雑草駆除【14-3-4】

ダンジョウは パイプを勾玉で切り裂くと そこから出た蒸気を 植物人間目掛けて振り撒いた 植物人間たちは 一斉に断末魔の叫びを上げて ドロドロに溶け始めた 部屋の隅っこに残った 植物人間のひとりは へたり込んで その蒸気に怯えていた さぁて 残るはあん…

抗争勃発【14-3-3】

さっきから黙って聞いてりゃ つべこべ抜かしやがって… うるさいハエは食べてしまうぞ! 蛮三會の組員のひとりがそう言うと 手の指がビヨンと伸びて ダンジョウに絡みついた うわあああ! 組員の顔は次第に変色していき 緑色になった まるで食虫植物のような…

出前料理【14-3-2】

ダンジョウの眼前には 豪華な出前料理を食する マフィアたちの姿が映っていた ダンジョウじゃないか まぁ座りたまえ 良ければきみも食べていけばいい ホージは飄々と促した 誰が…っ! ホージ! 自分がいま誰と何をしているのか 分かっているのか? コイツら…