ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

至栽培地【14-4-2】

少し奥まった地下通路にある

錆びついた扉を開くと

パイプだらけの通路に出た

先程までいたマンションの

ボイラー室とよく似ていた

 


 あなたたち

 熱には弱いくせに

 生暖かいのは得意なのね

 なかなか敏感とも

 言えるのかしら

 


ウナージュは植物人間のアオダンに

皮肉めかしく言い放った

アオダンはなにも言わず

ただどこかへ向かって歩き続けた

先ほど溶けた脚は

ダンジョウが勾玉の光で

少し修復してあげたので

歩行には支障なかった

 


プラント内は熱源が近いのか

最初来た時よりも暑く感じた

 


階段を登って

狭い通路を通って

また階段を登って

そしてこのむせ返るような

蒸し暑さだ

ダンジョウたちの体力は

徐々に削られていった

交信する間も無く

回復は出来ていなかった

 


 着いたぞ

 


アオダンはぼそっと呟くと

ダンジョウたちの眼前には

無数のモルフェンの花が

一面に敷き詰められていた

 


まるで釈迦の周りの睡蓮畑のように

熱気の蜃気楼も相まって

どこか幻想的な雰囲気を醸し出していた

 


── 幻想的な元凶の桃源郷、地底帝国の詩。