ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

2022-01-01から1年間の記事一覧

タイトルマッチ決定【17-4-3】

ニヴィタシィのアメリケンジムにて ダンジョウは鏡の断片が組み込まれた チャンピオンベルトを奪還するために 厳しいトレーニングに打ち込んでいた すると突然、ニヴィタシィが バタバタとジムに入り込んできた おい、ダンジョウ! チャンピオンからのタイト…

曝け出すこころ【17-4-2】

テンムスが目を覚ますと そこは見知らぬ部屋だった 霞む視界の端に 窓辺を見やる人影が見えた ん…ヴリテリー? テンムスは目を擦りながら ぼそりと呟いた 人影はこちらが目を覚ましたのに 気がついたのか ゆっくり近づいてきた お目覚めかな? テンムスに微…

モグラのような生活のなかで【17-4-1】

オーディションの結果発表から日を待たず 早速新作演劇の稽古が始まった 不朽の名作の念願の舞台化ともあり 各方面からの注目が集まっていた テンムスは そんな新作演劇の主演を任された 新人女優ともあり メディアはこぞって彼女を特集した 二十歳にも満た…

楽団への入団【17-3-4】

タヅクリは 楽団の門の前に立っていた "うぅ…、緊張するのぅ… こんなに緊張したのはいつ以来じゃ? 確か、思伝石の発見を発表した時じゃから だいぶ前になるのぅ…" タヅクリは回想に浸りながら 楽団の門を叩いた 翌日、音楽団の練習風景のなかには タヅクリ…

シンデレラストーリー【17-3-3】

ブルードゥウェイのコンサートホールでは 新作演劇のオーディションが 粛々と執り行われていた テンムスは もちろん演技はおろか 歌唱の経験さえもなかった 周りの人々が行う様子を伺いながら ミュージカルというものの雰囲気を 肌感覚で探っていたのであっ…

ニヴィタシィのパンチ【17-3-2】

バツン! 何かを裁断したような音が 辺り一面に拡がった 〜〜〜! ニヴィタシィのパンチを 一撃食らって 悶えるダンジョウ 全身が痺れていた ニヴィタシィさんは なんでこんなに強いパンチが撃てるのに 試合に出ないんですか? オレは右目が見えねぇんだ 試…

ダンジョウのパンチ【17-3-1】

筋トレはやめだやめだ ダンジョウ、全開だ 心力フルスロットルで スパーリングやっぞ よ〜し、がんばるぞ〜 ニヴィタシィのトレーニングルームには もちろんリングも併設されている ボクシングのリングとは異なり 八角形となっている コーナーは宙に浮いてお…

イカサマ・トレーニング【17-2-4】

ニヴィタシィは頭を抱えていた ダンジョウが思いの外 ウエイトを持ち上げられないこと このままいくとスパー もまともに出来ないかもしれないと 不安を感じ始めていた ニヴィタシィさん これ、マジできつい レッグプレスのマシンに至っては 重りをつけていな…

高飛車の魔女【17-2-3】

ブルードゥウェイにある コンサートホール リンゴスことテンムスと ヴリテリーは オーディション会場へと入った なんとかギリギリね ふたりはへとへとになりながらも安堵した そこへミリンダがやってきて ふたりを軽く見下ろした あら、この街のヒトの服装に…

タヅクリの決意【17-2-2】

タヅクリさん、 もしよろしければ やるからには 目標を決めてみませんか? 例えばコンサートに出るとか… 音楽団に入団するとか そうじゃなぁ 音楽団はどんな場所で 活躍するんじゃろ? コンサートホールや ブルードゥウェイの舞台でも 演奏することがありま…

玉虫色の音色【17-2-1】

すー すー タヅクリは早速 受け取ったロックスを 吹き始めたが 音は鳴らなかった タヅクリさん ただ息を吹き込むだけでは この楽器は鳴りませんよ 下唇を下の歯に当てるようにして 巻き込み 上唇をマウスピースに乗せます この時ただ息を吹いても 鳴りません…

初期衝動のままに【17-1-4】

タヅクリはそのまま Rubbスタンドで寝てしまっていた 砂金時計は 早朝の時刻付近で流れ落ちている ワシとしたことが 酔い潰れて寝てしもうたわい マスター、すまんのう 迷惑かけてしもうた いえ、良いんですよ わたしはいつもずっとここに 居りますので ユヴ…

筋力トレーニング【17-1-3】

テンムスが オーディション会場に着いた頃 ダンジョウは… ぼぼぼっ…バシュ〜っ! で、出来た…! 遂に心力グローブの作り方を 体得したのだった やるじゃねぇか やっとスパーに入れるな と言いたいところだが 現チャンピオンは なかなかの素早さだ そしてウエ…

ヴリテリーとリンゴス【17-1-2】

ヴリテリーは 手元の砂金時計を見やると 途端に焦り始めた まずい!こんな時間だ! 急がなくちゃ! テンムスも カンローニに手渡された 砂金時計を見た ヴリテリーは 勾玉に心力を ありったけ注ぎ込み マシンを加速させた 途中、警察に追いかけられたが なん…

モーレツなヒッチハイカー【17-1-1】

リンゴスことテンムスは あるショーの オーディションに向かっていた 西の都市で利用した イモムシカーならぬ 牛カーが道路をひっきりなしに 走っていた カンローニから聞かされた方法を テンムスは試してみた 親指を天に向け 少し歩道から身を乗り出す そう…

ミリンダの楽屋【16-4-4】

摩天楼聳え立つ メインストリームの一角 そこに佇むナイトクラブ ニュー・ヨーグル リンゴスことテンムスは トップ女優ミリンダの ショーを最後まで見届けると ミリンダの楽屋へと赴いた もちろんトップ女優なので 楽屋の前には SPが待ち構えていた "これは…

愛と言う名の音楽【16-4-3】

ここは北西の市街地 偶然入ったスタンドで タヅクリは ある音楽に釘付けになった 石管楽器から出たその音色は タヅクリのこころの寂しさを 埋めるように こころの隙間にやさしく取り入った タヅクリは生まれてこの方 機械や無機物に夢中だったので 音楽を間…

こころの傷薬【16-4-2】

ダンジョウは 西の都市であった一切を ニヴィタシィに話した ニヴィタシィは ダンジョウが話している間 何も言わずに 彼の話を静かに聞いていた オレは仕事柄 助けられないなんてこと 茶飯事だぜ だがな お前のその感覚は 忘れちゃいけねぇんだ オレだって …

心力グローブ【16-4-1】

ダンジョウは ニヴィタシィと スパーリングを行う ダンジョウは ニヴィタシィから メリケンサックのようなものを 手渡された なに?これ アメリケン用の勾玉さ ボクシングで言う グローブってやつだな え グローブってもっと大きくて 保護してくれる感じじゃ…

放浪のタヅクリ【16-3-4】

タヅクリはひとり街を彷徨っていた ダンジョウもテンムスも どこへ行ったんじゃ 毎回ワシを置いてけぼりにするんじゃ ニヴィタシィの治療を受けた タヅクリだったが 目が醒めると ニヴィタシィの診療所ではない 見知らぬ場所へ寝ていた かろうじて 大切な勾…

ミリンダとリンゴス【16-3-3】

というわけで テンムスはナイトクラブ ニュー・ヨーグルへと 足を運んだのであった なかに入ると ショーの真っ最中だった テンムスは そのままなかへ入ろうとしたが 黒服に止められた お客さま、ここは会員制ですので 会員証をご提示願います "会員証…" 昨日…

同等の対価【16-3-2】

昨日のこと プラント総括長シャオビンを 追っていたテンムスは カンローニという謎の男に助けられ 手当てを受けるのだった 調子はどうかな? カンローニはゆったりとした声色で テンムスに語りかけた え、えぇ さっきよりは良いわ ありがとう テンムスはまと…

ヘビとネコ【16-3-1】

ダンジョウは都市郊外の 荒野を走っていた ちょうどダンジョウたちが ニヴィタシィ一味に 拾われた辺りだ まだ? まだ走るの? ダンジョウはバテバテだ ニヴィタシィは 自転草に乗って先導している まだまだこんなもんじゃねぇぞ 試合んなったら 予測しない…

意思沸る目【16-2-4】

ニヴィタシィは 神妙な顔をしながら ダンジョウに向けて静かに言った お前、 この街で地上人であることを 公言でもしてみろ 今に生命を狙われるぞ それどころか 死なせてももらえないだろう 格好の餌食だ 特に日本人なら尚更だ お前は今から オレの隠し子に…

ニヴィタシィとダンジョウ【16-2-3】

ダンジョウは状況が掴めず まだキョトンとしていたが 少しずつ飲み込めてきたようだった ぼくはダンジョウヤマトです よろしく テンムスは… えと、珍しい模様の髪飾りをして ビードロみたいな耳飾りの ちょっとつり目の女の子 見ませんでしたか? ここには来…

奇跡のベール【16-2-2】

ヘッドと呼ばれる男は 下っ端に指示を出し ダンジョウとタヅクリを 手術台へ寝かせた 男はダンジョウの着ていた 衣服を脱がせると驚いた げっ、こりゃあひでぇな 皮膚が爛れてぼろぼろじゃねぇか おまけに服にも張り付いてやがる ジジイの方はまだ大丈夫そう…

ギャングのおカシラ【16-2-1】

ダンジョウとタヅクリ博士は 自転草に乗ったギャングたちに 連れられて街へやって来た 東や西の都市とは また違った造りの建物が 軒を連ねる大都会だ ギャングたちは 自転草を乗り捨てると メインストリームから一本外れた 路地裏へと身を潜めた ヘッド 荒野…

自転草を駆るものたち【16-1-4】

タヅクリ博士とダンジョウは なんとか溶岩ダムの外へと出た 辺りは荒野で どちらかと言うと砂漠に近かった しかしながら タヅクリも心力を ほぼほぼ使い果たしてしまった ふたりとも動けずじまいだ "こやつを助け出すのに必死で 後のことはまるで考えとらん…

満身創痍のふたり【16-1-3】

一方、溶岩ダムの ダンジョウとタヅクリはというと タヅクリは心力コーティングが 剥がれかけ 汗をダラダラかいていた ダンジョウは 完全に心力を使い果たし 交信もままならない状態だった 無事着いたは良いが このままじゃと ふたりとも消し炭じゃ! タヅク…

闇に包まれた愛情【16-1-2】

テンムスは 先ほど打ち込まれた拳が まだ効いていたので 思うように声を出せなかった 嬢ちゃん なかなか良い顔しているじゃねぇか その男は 太い指でテンムスの顎を くいともちあげ まじまじ覗き込んだ おっと失礼 紹介がまだだったな わたしはカンローニ こ…