2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
パパ シルヴィの父親は 胸に包丁を 突き立てられ ソファーの上で 絶命していた どうして 酷い シルヴィは 悲しみに暮れた 自分の母親が 別の者だったことよりも 父親の死が 悲しかった そこに湧いて来たのは 冷たい怒りだった 無意識に彼女は 鏡の断片を 天…
シルヴィ 口を開けて え がぼぼ シルヴィが 口を開けた瞬間 水の精霊が 体内に流入した あまりに突然の出来事で シルヴィはかなり 戸惑ったが 思いがけず ごくんと飲み干した するとどうだろう 彼女の年老いた身体は みるみるうちに若返り 思うように 動かせ…
テンムスは ミズヒキを行った 一か八か 水の精霊に賭けてみた 唇が乾いたが 滴る汗で潤して なんとか形を保った 何をしているんだ フィナンシエが 嘲笑うように言った テンムスは そんな言葉も無視して ただ一心不乱に 水の精霊の応答を待った この間も フィ…
老婆と化した テンムスとシルヴィ 黒ずきんの正体は 司祭パウンドの 副官のひとり フィナンシエだった シルヴィはまだ 階段の中腹で 倒れ込んでいた 脚が攣っている 痛い テンムスも立とうとしたが 脚の筋肉が 痙攣して立つのに難儀した エネルギーを使った…
ダンジョウは シソウメ特製の サンドウィッチを平らげた お茶でもいかが シソウメは 薬草のお茶を ダンジョウに勧めた ありがとう うわ すごい匂いだね これ 身体に良いのよ わたしが調合したの これを毎日飲んでいるおかげで この歳まで元気に 生活出来てい…
シルヴィ 何やっているの 早く外へ すごく脚が痛い 骨折しているみたいに 息も続かないし え どういうこと テンムスは 状況を見に行こうとしたが 身体が重たい 少し動いただけで 息が切れてしまう なにこれ どうなっているの ははははは 物置の暗がりから 子…
シルヴィは 首根っこを掴まれた 母親はすぐさま 包丁を振りかざしたが テンムスはそれを 素手で受け止めた その時 包丁がテンムスに反応し 形を変えたのだった それはテンムスの勾玉だった 何故ここに しまった 光が シルヴィ 鏡を テンムスは勾玉の光を 鏡…
シルヴィ それはなに テンムスは テレパス通信で シルヴィに呼びかけた 足先で触れた感覚が どこか 懐かしいものだったからだ わたしが あなたを守っているから 少し見てみてくれないかしら 母親の斬撃をかわしながら テンムスは シルヴィを死守した 暗くて…
みぃつけた 不気味な表情で シルヴィの母親は 静かに呟いた シルヴィとテンムスは その無機質な声に 恐怖した まずい 出口を完全に塞がれている テンムスは この薄暗いなかで シルヴィを守りながら 戦闘を行うのは かなり不利だと思った でも やるしかない …
テンムスは 二階の窓を くぐり抜けた後 出来るだけ音を立てず 家のなかを移動した 父親も何処かに いるからだ しかしながら 家のなかは 人の気配が感じられないくらい 静まり返っている 吹き抜けの廊下から ふと下のリヴィングを 見下ろすと 誰かが横たわっ…
おばあさん ここで合っている 海なんて ひとつも見えないけれど あらま 久々に外に出たから 場所を間違えたかしら でも 潮の香りがするから 間違っては 居ないんじゃないかな ふたりは 暫く森のなかを彷徨うと 海の見える 崖の上に出た 良い眺めだね そこは…
テンムスは 身の丈以上ある 木の棒を手にしながら 即座に茂みを後にし 一目散にシルヴィの家の 二階の窓を目指した 茂みから窓までは 目と鼻の先だ テンムスが家の敷地に 辿り着いた瞬間 シルヴィの母親が 玄関の扉から出てきた それは物凄い形相だ テンムス…
精霊の本体は 水分であるため どんなに狭い場所でも 僅かな隙間があれば 通り抜けられる 精霊はシルヴィの家の 二階の窓の隙間から なかへ侵入した 念のため 窓の鍵を外しておいた 精霊はまるで 雨漏りのように 静かに床を伝い 家のなかを移動した シルヴィ…
テンムスは 地面に手を当て 水を感じ取った 土のなかの 僅かな水分は 精霊となって 彼女の目の前に現れた そして 精霊への精神ハックを 実践してみた 精霊の構成元素 ひとつひとつに 意識を向けた そこから視界が 自分の姿を見るまでは さほど時間はかからな…
テンムスは シルヴィの母親に 家から締め出されてしまった 信じ難い出来事に 呆然と立ち尽くしていたが シルヴィのことを思うと どうにかしないといけないと思った 彼女は無事なのだろうか 先ほどの怖がりようは とても普通には見えなかった 他所の家庭の事…
何やっているの 鋭い目をして ひょろりとした 青白い女性が 玄関の扉から 入ってきた ママ シルヴィは 彼女が入って来た途端 顔色を強ばらせた あれだけ勝手に 人を入れるなと 言ったのに あなたは そんなことも 守れないの 悪い子ね お仕置きが必要だわ マ…
ねぇテンムス ちょっとお祭り 寄ってみない ええそうね テンムスとシルヴィは お祭り騒ぎの街を練り歩いた テンムスはその間も 黒ずきんの少女か 居ないかどうか 辺りを気にしていた 不意にシルヴィに 手を引かれたテンムスは 少しびっくりしたが ねぇ これ…
ダンジョウは シソウメをおぶって カタツムリバイクを 走らせた まるで介護タクシーの様相だ 風が気持ちいいわね シソウメは 呑気にツーリングを 楽しんでいた こんなことしている場合じゃ ないんだけれどなぁ でも 鏡の断片を 譲ってもらうためには なんと…
テンムスは 遠くの海を眺めると あることに気がついた 舟のようなものが 至るところに浮かんでいることに あれはなんなの シルヴィに聞いてみた あれは 死んだ人たちの魂を あの世へ送るための 舟なんだって そして 送った後に 肉体をつけて また戻ってくる…
木の上の少女は ぱっとそこから 飛び降りて テンムスを 物珍しそうに 覗き込んだ 大丈夫 なんだか 調子が悪いみたいだけれど 大丈夫よ ありがとう 少女は 肩にかけていた ポシェットから 何やら水筒のようなものを 取り出した これ 良かったら 飲んでみて わ…
テンムスは 商店街でもないのに どうしてこんなにも 人がいるのだろうと 思っていた まるで都市間の 迷宮防壁のように 人々は 彼女の行手を阻んだ よくよく見てみると 街は何やら お祭りをやっているようだった そして皆 何かに酔って 奇妙な踊りをしたり 奇…
さっきまで こんなに人は 居なかったはずじゃ テンムスは 不思議に思ったが 取り留めて 深く考えはしなかった でもこんなに人が たくさんいるんじゃ なかなか骨が折れるわね 一方のダンジョウは 老婆シソウメの持つ 鏡の断片を 譲ってもらう方法を 考えてい…
テンムスはどこかの 住宅のなかで目を醒ました あれ ここは ダンジョウはどこ ふふふ おねえちゃん 背後からまたもや 少女の声が聞こえた テンムスの意識は どこか夢のなかにいる様な 感覚だった 少女の声もぼんやり 響いて聞こえている その少女は 黒いずき…
極限の状態で ダンジョウにひとつの 希望の光が降り注いだ おばあさん ぼくはダンジョウと言います 勝手に入ってごめんなさい でも今 その鏡の断片を探して この土地にやって来たんだ その欠片をぼくに 譲ってはくれないかな わしはシソウメ 長いことここで …
どこに行ったんだよ こんな気味の悪いところで ひとりにしないでくれよ テンムスに マインド・ダイヴを試みたが あたかもこの世から 居なくなってしまったかのように 反応しなかった まるで雲をも掴む感覚だった ダンジョウの不安は 最高潮に達した テンムス…
おねえちゃん わっ テンムスは突然の出来事に 驚きを隠せなかった 声は背後から聞こえていた 恐る恐る振り返ると そこには ひとりの少女が立っていた あなたいつの間に かくれんぼしようよ 生憎遊んでいる暇はないの ごめんなさいね これ 欲しくないの 少女…
なんだったの あれ テンムスが 異様に怯えていた 何か見えたの あのおばあさんに テレパスを送ったとき 少しだけだけど 断片的な映像が 頭のなかに入って来たの 何かのお祭りをやっていて 黒い巨大な影が ものすごく巨大だった 今まで見たことのないような …
あのお すいませえん ここら辺で こんな形の 円盤みたいなの 見ませんでしたか ダンジョウは 手で勾玉の形を表現しながら 説明した しかしながら 誰も反応するものは居なかった え どうしようテンムス テンムスは 目に留まった老婆に 声をかけてみた 声とい…
ダンジョウとテンムスは カタツムリバイクで 道路を滑走した しかしながら 彼の運転は あまりにぎこちないものだった あなた乗り物を 操作したことないの このままわたしを 殺す気じゃないでしょうね ぼくは車の運転さえ したことがないんだよ 仕様がないじ…
おれこうゆう雰囲気 苦手なんだよな なんだかジメジメしている感じ 海にも霧がかかっているし え 海 ここ地底だよね なんで海があるの 海くらいあるでしょう テンムスが当たり前と 言わんばかりおかしな顔をした やっぱりおれの知っている 地底じゃない あは…