ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

霧のように【10-2-2】

おねえちゃん

わっ

テンムスは突然の出来事に

驚きを隠せなかった

声は背後から聞こえていた

恐る恐る振り返ると

そこには

ひとりの少女が立っていた

あなたいつの間に

かくれんぼしようよ

生憎遊んでいる暇はないの

ごめんなさいね

これ

欲しくないの

少女は

ふたりが探し求めていた

勾玉を見せびらかして言った

あなたが持っていたのね

今すぐ返しなさい

それはあなたが持っていて

良いものではないの

じゃあ決まりだね

あなたはわたしを

見つけるしかない

でもこの街から出ることはしないよ

それは流石にルール違反だからね

わたしを見つけることが出来たら

これを返してあげるよ

あれ

テンムス

ダンジョウのそばに居たテンムスは

急に姿を眩ました

辺りには

不気味な霧が立ち込めていた


── 神隠しの仕組み、地底帝国の詩。