ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ビジョン

視認している物体が 確かにそのものだという 確証がないこともある ましてや その物体自体が 我々の視覚を 操作しているのならば 尚のこと ── 確固たる信念で、ものを見通す力を。

メイド・イン・ムーン Ⅰ

月面人間工場製の 我々人類の身体は とても上手に出来ている 指紋は認証するものではなく 身体の汚れを削り取るもの 体毛は脱毛するためのものではなく 身体の温度を保つもの 足の指紋は 手が使えなくなったときの予備であり 耳はヘッドフォンで塞ぐものでは…

既存法則への対抗 Ⅱ

時間の隙間を 見つけ出せ そこに意識の 鍵をさせ 回して開ければ フィルムの束を 俯瞰で見ることが出来る ── 未来のフィルムを、書き換える作業。

進化という名の退化

我々人類 進化している ように見えて 退化の一途を 辿っている 進みすぎた文明は 人間たらしめる事象から 遥かに人々を遠ざける 我々本来持っている 原始の力は失われゆく 便利すぎることが 不便だということ 自由があるようで 不自由になっていること ぼく…

物語と現実の逆転

これから 今まで空想上の 出来事だったことが 現実だったと知らされる いちいち驚いていたら 心臓が何個あっても 足りないよ ── 覚悟はいいか、さぁ飛び込め。

雪もどき

降り落ちる 雪のような 白砂糖 積もったところで 毒は毒 ── いつだろう、雪が最後に降ったのは。

既存法則への対抗 I

未知の粒子で 結いだ糸へ あなたの意思を 電流のように 張り巡らせば 乱雑さですら 時が止まったかのように 増幅をやめる ── 意識を集めて、一矢報いて。

ラララプソディ

海と空 空と山 山と海 それぞれから出る ちからの色は 混ざり合うことはないけれど それぞれに住む 生き物たちが 別々の場所に運びゆく 別々の場所のそれぞれの色は 混ざり合わずに より一層際立つ ── 違和感は、時に趣と化す。

ワンノーム

ぼくらは息を吸っている 酸素を吸うと知っている 未知の粒子も吸っている みんな同じく吸っている 意思とこころが繋がって 未知の粒子は飛び散った ぼくらの知らない ちからがもうすぐ バラバラなピース ひとつにまとめる ── 多様に見える、ひとつの生態系。

テバナスの種

一先ず全部ばら撒いて それでも残ったものならば それがあなたに必要なもの ── 少しの勇気で、それがわかる。

未知の大陸

地図にあるけど 誰も知らない 方舟のある 氷の世界 ── かつて、この世界だった場所。

こころの神殿

居るはずのない神に縋りつく 神はあなた自身ということも知らずに ── こころの神殿の、扉を開けて。

氷河期暮らし

奴隷人形の ぼくらの仲間 無表情の目元から やがて氷河期 やって来る 外気は日毎に 寒さを増して 遍く命も凍りつく これがこのまま 続いたならば 確かにぼくらは 死に絶えるだろう けれども僅かな魂は それでも生きろと 言っている 身体を疾る赤色を 震わせ…

逆転写

エル、オー、ヴィ、イー 愛はラヴ イー、ヴィ、オー、エル 進化はエヴォル ── 愛することは、進化に等しい。

輪廻

月に制御された ぼくらの身体 なろうと思えば 鳥にもなれる あなたのこころが 願うなら 人生は一度切りではない きみは覚えていないけれど むかしぼくらは 確かに出会っている ── ひとつの魂は、あらゆる肉体と繋がる。

巨人の手のひら

いつも歩いている その道は 巨人の伸びた 爪の先 たまたま登った あの山は 巨人の寝転ぶ 布団の上 ぼくらの生きている この世界 巨人のひらげた 手のひらのなか ── 支配者たちの、うごめく世界。

やさしさの数だけ

もし 世界の通貨が やさしさだろうと 貧富の差なんて 変わらないだろう 世界の通貨が やさしさだろうと 今ある文化は 変わらないだろう けれども 世界の通貨が やさしさだったら やさしくあろうと 努力はするだろう そうならないよう やさしさ どうか忘れず…

ルビーの輝き

指から飛び出た 真っ赤な血を見て 生かされていること 思い出す ── 滴り落ちる、いのちの雫。

天馬

泣く 鳴く 否 無く 嘶(いなな)く 天馬 薄っすら見えた 後ろ脚 蹴り上げ 頭上を 飛んでゆく ── 夜空の彼方、すぐさま消えた。