ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

聞取調査【13-4-1】

早速 イモムシカーのなかで 取り調べが実施された このモルフェンは どこで入手したものかしら 食い逃げ犯のパオは だんまりした 言えないのなら その頭を吹き飛ばしても 良いのだよ ウナージュの言葉を 遮るように コヴが 半度丸をパオの 頭に向けて構えた …

問題物質【13-3-4】

これはモルフェンという 麻薬なの モルフェンは 美しい花を咲かせた後 あめ玉のような 蕾が残るの それを乾燥させて 粉砕したのが この麻薬ってわけ モルフェンの 流通量が近頃 急速に増えているわ 公安警察も 手に負えないほどにね ウナージュは 麻薬の解説…

麻薬捜査【13-3-3】

ウナージュは 食い逃げ犯の荷物のなかから 透明な小さい袋を 手に取った 地上のビニール袋に 一見見えるが これは動物の 内蔵で出来た袋だ その袋に入ったものが なんなのか 彼女はすぐさま 察知した これは違うんだ 入っていたんだ いつの間にか いつの間に…

他人の自分

自我のなかに 誰かいる わたし以外の 知らない誰か いつからそこに 居るのだろう 会話を交わした こともない 悲しい気持ちの 真んなかを 裸足でずかずか 歩いてる スリッパくらい 履いてよちょっと ── きみはいつまで、そこにいるのか。

事件発生【13-3-2】

ふぅ もうお腹いっぱいだぁ ダンジョウの腹は 元の二倍くらいに 膨らんでいた あなたの食欲 底なしね テンムスは目を まん丸くした 交信しても やっぱり減るもんは減るよ 久々たくさん食べられて 満足したよ 誰か 食い逃げよ 調理場の方から 叫び声が聞こえ…

団欒件欄【13-3-1】

うまそぉ〜 ダンジョウの目の前には ありとあらゆる料理が テーブルいっぱい 敷き詰められていた どれも見たことあるようで 初めて見るものばかりだった いただきます なにそれ 呪文か何か ウナージュが 聞き慣れない言葉に 疑問を持った いっつも聞かれるん…

至繁華街【13-2-4】

追い出されちゃったね プラントに関しては 世界機関だから 我々国家権力では 太刀打ち出来ないのは山々だな 芋づる式に 証拠を手繰り寄せるしかない コヴは呆れたように 笑みを浮かべた ま 気晴らしに 繁華街にでも行くとするか 警部補何を言って 遊んでいる…

工場見学【13-2-3】

なにがどうなっているんだ コヴは警備員の 不可思議な行動に 困惑していた 彼 味方を撃とうとしましたね しかも突然 犯人のダンジョウら 飄々としていた 若年の彼とて 口を滑らせれば まずい状況になると 分かっていた なにせ相手は 公安警察なのだから こら…

溶岩工場【13-2-2】

着いたわよ ダンジョウたちの 目の前には 巨大な溶岩生成プラントが 聳え立っていた ここで生成された溶岩は この都市のみならず 他の都市にも配給され また地上に於いての 火山活動の原動力ともなっている 地底帝国を代表するインフラだ なんだかやっぱり …

車両芋虫【13-2-1】

コヴとウナージュ ダンジョウたちは 署を後にして 早速捜査へ繰り出した 外に出ると ウナージュは イモムシ型の車を 起動させた うわ なにこれ 車なの ダンジョウが 気持ち悪そうに それを見た 馬鹿にしないでよ これでもれっきとした マシンなんだから 彼女…

於取調室【13-1-4】

ダンジョウたちは 別々の部屋に 留置された そしてそれぞれ 取り調べを受けた だからさぁ おれはウソなんか ついていないって ダンジョウは 机をバンと叩いた あたしはウソなど ついていないわ テンムスもまた 机をバンと叩いた ワシはウソはついとらん タヅ…

羽化手錠【13-1-3】

不時着した 円盤のなかから 出て来たのは こちらと同じ編成で 年寄りひとり 男女ふたりの 三人組だった そのうちの少年は こちらが半度丸を 構えていることに気づくと 静かに両手を挙げた ごめんなさい 本当に こいつが悪いんです 小声で少年は呟いた どうし…

円盤飛来【13-1-2】

コヴとシャッケイ ウナージュの三人は 署内で起きた現実に 自らの目を 完全に疑った 白昼堂々 UFOが突っ込んって 来るなんて 西の都市には 大きなエネルギープラントがあった 本来であれば そこの専用通路から 地上世界へ向けて 発進するはずだからだ だから…

西都市公安警察【13-1-1】

公安警察に所属する 警部補コヴ 巡査部長シャッケイ 巡査長ウナージュは 頭を抱えていた どうなっているの 最近の犯罪件数が うなぎ上りよ これじゃあ いくら取り締まっても キリがないわ うむ マフィア連中に 勢いがついて来ているのは事実だ このままでは …

突入都市【12-4-4】

真心丸の雨に撃たれて ダンジョウは 必死にUFOを 都市のなかに 移動させた 迷彩機能を 使っているにも関わらず マフィアたちは 照準を見事に 合わせてくる なんで見えているんだ 他の都市とは違って ここは国家ぐるみで 心力の鍛錬をしているの きっと心眼で…

歓迎光臨【12-4-3】

西の都市の門が開くと そこに待っていたのは 大勢の強面軍団だった ダンジョウは 映画で見たことあるような 敵の一団だと思った 服装も映画宜しく 香港マフィア風の スタンドカラーで デザインは異なるものの 道着のような 黒ずくめのものを 各々身に纏って…

開口【12-4-2】

なんだか凄い デザインだなぁ ダンジョウは 西の都市の 門の奇抜さに 度肝を抜かれた これちゃんと 開くんだよね わたしに任せて ちょちょいのちょいよ テンムスは イヤリングを外して なかから何か 取り出した これ繋げられて タヅクリ博士に 相談をした ち…

空に浮かぶ大口【12-4-1】

自動操縦でよかった 合成人間が乗っていたら 大変なことになっていたな あ この後のこと 考えていなかった ダンジョウは ドラゴンマシンを 突き抜けたまま 雲間から真っ逆さまだ なんと無茶な タヅクリは 急いでUFOを起動させ ハッチを開けて ダンジョウを …

ヘッドショット【12-3-4】

UFOは 鮮やかな光を放ちながら ドラゴンの胴体を 切り裂いた 凡そ胴体を切断したが マシンはまだまだ健在だ どうなっているんだ 全然ピンピンしているぞ 自動操縦か はたまた合成人間か どちらにしても 頭の部分を破壊しなきゃ こいつは倒せなさそうだ しか…

ドラゴン退治【12-3-3】

ドラゴン型の 巨大なマシンが 雲間から覗き込んでいた こりゃあ 逃げるしかないんじゃないの ダンジョウは 珍しく消極的だった いつもの勢いは どうしたのよ 気合い入れなさい テンムスは ダンジョウの背中を打った 逃げるが勝ちって言葉 知らないの 積極的…

雲のなかの案内人【12-3-2】

テンムスが呼び寄せた 水の精霊は タツノオトシゴのような 外見をしていた こんなんでちゃんと 案内してくれるの 見た目だけで 判断しないでよね タツノオトシゴのような 水の精霊は 雲の迷宮をゆらりと進んだ その後ろを ダンジョウたちのUFOは 辿々しく着…

雲の迷宮【12-3-1】

もう入っているって 雲しかないじゃないか これが西の都市の 迷宮防壁 雲の迷宮よ 雲って迷宮になるの そのまま突き抜ければ 良いだけじゃん ダンジョウが 余裕そうに言ったが いやそうもいかんのじゃ タヅクリ博士は 少し焦って説明した 向こうに門は 見え…

空を突き抜けて【12-2-4】

三人は UFOに乗り込んで 北の都市を後にした 鏡が指して示すのは 空の方角だった コロニー式の 階層構造だから 方角なんて あったもんじゃないね こんなに青い空だから そのうち宇宙に 着いちゃったりして 地底だけれど テンムスとタヅクリは ダンジョウの言…

地底世界の地震【12-2-3】

三人が 山を降りようとすると 地面が僅かに 揺れた気がした 地震 ダンジョウは ふと疑問に思った 地底でも 地震は起こるの 滅多に起きは しなかったけれど 最近割と 起きることがあるわね ワシも気になって 調べていたが 震源が特定出来んのじゃ どこかに 原…

奇妙な壁画【12-2-2】

ダンジョウとテンムスは タヅクリ博士の待っている 山の中腹に到着した そこには 洞窟のようなものが 幾つかあった 博士はそのひとつの 入り口に立っていた ふたりを手招きすると 三人は洞窟のなかへ 入って行った なかは暗いが 不思議と明かりがなくても 見…

山へ向かう道で【12-2-1】

ふたりは博士の待っている 山の中腹へ 向かっていた 妙なものって なんだろうね さあ 見当もつかないわ あなた 操作が上手くなったわね え そうかな 何だよいきなり ペース乱れるなぁ きみが居ない間 おばあさんを乗せて ここら辺を 走り回っていたからね そ…

博士からのテレパス通信【12-1-4】

ジジジ 外に出たふたりの脳内に 何やら妙な音がする あ あ 聞こえるか 博士 やっと通じたわい ずっと通信し続けて居たんじゃが 全然繋がらんから どうしようかと 思っていたところじゃ こっちだって 色々大変だったんだから 鏡はもちろん しっかり手に入れた…

魔除けの指輪【12-1-3】

行ってしまうのね せっかくまた 会えたのに 残念ながら ゆっくりも していられないの この戦いが終わったら またきっと ここに来るわ それまで 元気で居てよね これ 持って行って シソウメは テンムスの手を握った 手のなかには 指輪が握られていた これは …

念願の瞬間【12-1-2】

これ シソウメは テンムスに 鏡の断片を渡した ありがとう ずっと 持っていてくれたのね もうずっと 渡せないのかと思ったけど 待っていて良かったわ 何より この子が わたしを連れ出してくれた おかげなんだけれどね たまには 外にも出てみるものね ダンジ…

喜びのなかの狂気【12-1-1】

テンムス 今まで何処にいたんだよ ずっと探していたんだぞ ダンジョウ ここは ここは おばあさん シソウメさんの家だ シルヴィの家 シルヴィ シソウメの特別な名前よ シルヴィ フィナンシエの呪いが 解けていないの テンムス それは違うわ あれから 長い年月…