ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

事件発生【13-3-2】

ふぅ

もうお腹いっぱいだぁ

ダンジョウの腹は

元の二倍くらいに

膨らんでいた

あなたの食欲

底なしね

テンムスは目を

まん丸くした

交信しても

やっぱり減るもんは減るよ

久々たくさん食べられて

満足したよ

誰か

食い逃げよ

調理場の方から

叫び声が聞こえた

ダンジョウは

満腹で動けなかった

テンムスが動こうとした

その前に

ウナージュが

即座に対応してみせた

勾玉を半分にして

二丁の半度丸にしてから

靴に装着してみせた

刃を高速回転させると

まるで石畳みの上を

スケートリンクであるかの如く

なめらかに滑っていった

食い逃げ犯は

暫く逃走を行ったが

スケートを履いた

ウナージュのスピードには

到底敵わずお手上げとなった

ウナージュは犯人の脚を

引っ掛けると

その場にずべっと

倒れ込んだ

顔を打って鼻血が出ていた

頼む見逃してくれ

腹が減って仕様がなかった

犯人は懇願したが

さすがの公安警察

その言葉に耳は貸さなかった

これは話を聞く必要があるわね

ウナージュは

床にばら撒かれた

荷物のなかに

気になるものを不意に見つけた


── 果たして手掛かりとなり得るものか、地底帝国の詩。