ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

時既遅過【14-2-3】

 バコン!

 


ウナージュが扉を勢いよく開けると

五人はなかへ突入した

しかしなかはウナージュの勘通り

既にもぬけの殻だった

 


 "やっぱりやられた…!"

 


ウナージュは悔しそうに壁を叩いた

ひと通りなかを探索したが

やはり人影すらも見当たらなかった

 


ダンジョウは床に手をついて

交信を始めた

 


 あなた何する気?

 まさか、床にハッキングしてるんじゃ

 ないでしょうね?

 


テンムスは冗談めかしく

ダンジョウへ向けて言い放ったが

ダンジョウは目を星空にしながら

真面目な顔でテンムスに言った

 


 いや、その通りだよ

 


ダンジョウはかつて祭壇内で

テンムスを探した時のことを

思い出しての行動だった

 


 床や壁にも

 記憶があるみたいなんだ

 "精神の糸"と同じようなものが

 それらにもあるんだ

 


ダンジョウは床に精神ハックをして

記憶を読み取り始めた

彼の頭に映像が映し出された

 


 これはマフィアのグループかなぁ?

 何かやり取りをしている…

 ん?これは…

 そんなに前の話じゃなさそう

 ウナージュさんの言う通りだ

 

ダンジョウは床の記憶を辿って

マフィアグループの足取りを確かめた

 


 バン…サンカイ…蛮三會…?

 グループの名前かも知れない…

 

ダンジョウは部屋の外へ出ると

そのままマンションのボイラー室と

思しき場所へ向かった

四人も彼について行った

 


 ここに秘密の入り口がある

 彼らはここにいる…

 


ダンジョウは何故か神妙な顔をした

 


 どうしたのよ

 なにか歯に詰まったような顔して…

 


 あと…ホージとコルネがいる…

 彼らも一緒にここにいる…!!

 


 何ですって…?!

 


テンムスは目を丸くした

 


── 見えた真実と残酷な現実、地底帝国の詩。