ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

虎穴虎子【14-3-1】

五人がボイラー室へ降りてゆくと

パイプとパイプの間には

ダンジョウの言う通り

人為的に生成されたような

秘密の入り口があった

そこに扉は無かったが

周りの壁とは

明らかに異質な様相だった

 


 ここだけ雰囲気が違うわね

 まるで空間が歪んでいるみたいだわ

 

ウナージュが注意深く

入り口を調べた

 


 多分ホージのアイテムだよ

 あいつ、なんだか妙なものを

 持っていた

 空間を割く、チョークみたいなやつだ

 ヴィジョンの通りなら

 やつらはこのなかに居るはずだ

 


 どうやって入るのかしら…

 


 こうするんだよ!!

 


ダンジョウはその狭い入り口に

無理矢理飛び込んだ

 


 ちょっ、ちょっとダンジョウくん?!

 えぇい、無茶なコトする…!

 


ウナージュもダンジョウの後に続いて

歪曲した入り口に飛び込んだ

 


テンムス、コヴ、タヅクリの順で

続けてそれぞれ飛び込んだ

 


ダンジョウはすぐさま

勾玉に光を灯して

手前に構えたが

眼前に拡がった光景に

呆気にとられてしまった

 


入り口前で立ち止まったダンジョウに

後続のウナージュたちは

立て続けにぶつかった

 


── 少年の目にしたもの、地底帝国の詩。