ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

テイク・オフ

ホバリング状態を抜け出して ようやく雲まで浮上する 青空を見るには まだ遠いけれど 両腕をぐるぐる回しながら 雲の中をもがいている プロペラにも似た その運動は 太陽を見るために 必要なこと ── 気づいたときには、太陽の真下さ。

チバシル岬からの景色

白が赤色 青も赤色 黄色も赤に 見える眼(まなこ)で 飛び立ってゆく かもめを見ている もちろん赤色に 見えているわけで まるで紅しょうがが 飛んでいるみたいだ けれども夕焼けだけは 嘘をつかない 嘘偽りなく ぼくの視界と おんなじ色さ ── 信じられるもの…

夜間飛行の準備

ぼくらはこれから 夜間飛行の準備をする 南の町の 工場の閃光に向かって 鳥目をぎらつかせて ステルス戦闘機のように 誰にも見つからず 静かに夜空を飛ぶんだ ボロボロの羽でも 飛べるだけまだましさ 翼が折れたら 元も子もないんだから ぼくらはこれから 夜…

遺跡街の探検

どこを探しても 見つからないもの きっとここでは 見つかるはずさ 遺跡街のショーウィンドゥには きみの失くしたものたちが ずらり並んでいるからさ よりどりみどり 好きなものを もっていきなよ ── きみが忘れた頃に、新商品は入荷する。

イレイザー

鉛筆の線は 消しゴムで 消えるけれど 力強い筆跡は 残ってしまう きみの放った こころない言葉を やっぱり違うと 修正しても 聞こえた時点で 見えた時点で 受け取った方には 一生消えることのない 深い傷痕が 残ってしまう ── こころない言葉で、こころの傷…

はじまりの果実

禁忌の果樹園にひろがる はじまりの果実の成る木 きみのこころは むしって齧り付きたい 衝動に駆られている ひとたび口にすれば もう元には戻れない そこから先は また新たな果実を求めて 彷徨うしか 道はないのだ ── 耳もとで囁く、甘い誘惑。

アンドロメダリオン

手のひらの上の輝きは 宇宙と繋がった証 ひとひらの鱗が 輝きを受け止めて 薄さを更に 際立たせる 鱗の下の皮膚が透けて 丸見えだ ぼくの後ろに 伸びゆく影にも 綺麗な宇宙の輝きが 静かに瞬いている ── 宇宙に散った、生命の輝き。

青い太陽

天より降り注ぐ 陽の光 我々の機能を整える その光のなかには 解明されていない 物質が混ざっている なにより あれは我々の星 だったところなのかもしれない ── 昼の故郷、夜の故郷。

宇宙の法則

万物は 宇宙の法則に則って つくり出されている それを一度無視してしまえば この世界に存在し得ないだろう ただ 創造主である あなたのつくり出した ものならば どんなものでも どんな風にも なれるだろう ── 万物を統べる、唯一の方法。

ラストスパート

最後まで 手を抜いてはいけない 一瞬の気の緩みで ジェンガのように 崩れ落ちる ことだってある わたしは その怖さを知っている 一秒たりとも 気を抜いてはいけない ── 緩んだ隙間から、風のいたずら。

確信

自分を信じることで 確かなものへと変わる 自分を信じられなければ 確かなものにはなり得ない 自分を疑うな そうでなければ 出来るはずのことも 出来なくなってしまう ── 自分を信じられなければ、誰も信じられない。

これでもか

これでもかと 言わんばかりに ジャブを打て 小さな一撃は やがて確かな 大打撃となる ── 小さな積み重ねは、大きな一撃への大事な過程。

スーパー・スピード

たがの外れたトロッコが 猛スピードで レールを駆ける 超音速に乗るための これはまだまだ 助走のうちさ 擦り切れそうなエンジンが 火を噴き爆発一歩手前 そのまま突っ切れ 突っ走れ ── きっと見たことのない、世界が待っている。

受信

知らない誰かの 送った言葉が 頭のなかの 郵便ポストに 入っていることがある その言葉の意味を探して ぼくはこころの 船を漕ぐ ──それは理解するものではなく、感じるものだ。

スイッチ・オン

やらねばやられる こころもち きみのなかの スイッチは いままさに 起動したばかりだ ここから先は きみにかかっている ── スロースターターでも、やるときはやるのだ。

リヴォルヴァー

残り少ない 弾丸を込めて 確実に狙い撃て 標的ならば きみはもう 知っているはずだ 当たり前に過ぎる日々も 当たり前ではなくなることも きみはもう 知っているはずだ ── 外すことは許されぬ、百発百中。

イライラ畑の収穫物

土をこねくり回して 埋まったものを 掘り返す そんなことしている間に 大事な時間は 削られてゆく この畑で採れるものなんか なにひとつないのだから ただひとつ あるのだとしたら ここに来れば そのことに気がつける ということくらいさ ── 過ぎ去ったこと…

プラスチック・オーシャン

さざ波に似た 透明な破片は 泡立ったこころから こぼれ落ちたもの 一面広がる プラスチックの海には 似たような破片が 敷き詰められている 拾い損ねた 言葉の渦が 所々で 巻いている ── 大丈夫、落ち着いて。

さよならパラレルワールド

ぼくの描いた 未来が来る ぼくの願った 明日が来る 遠い未来の話だと 以前は思って いたけれど もうそんなことは これっぽっちも ないのさ これはもうすぐ すぐそこの話 パラレルワールドに さよならを告げて ぼくは元居た世界へ 飛び込むからさ ── 正史に戻…

痛みを忘れて

身体に出来た 無数の傷痕 あなたの受けた 苦痛やその他 見るたび胸が 苦しくなるけ(れ)ど いまは大丈夫 痛みを忘れて こころの燭台が 消えかかったなら また思い出せばいい ── 与える側には、分からない苦痛さ。

振り返るな、直走れ

きみの求めたものは もうすぐ手に入る だから脚を止めるな 振り返るな 直走れ 一度振り返れば 足元を掬われる 崩れゆく足場を蹴って きみは走ってゆく 奈落に追いつかれぬように 堕落に飲み込まれぬように いまのきみには 前にしか道はないのだから ── ブリ…

スケープゴート

羊が一匹 羊が二匹 羊が三匹 羊が四匹 一体何匹の羊を数えれば あなた方は 自分の愚かさに 気がつくのだろう ── 眠ったまま、狂って踊れ。

あなたにしかできない

他の誰かに 出来ることは あなたには 出来ないことかもしれない けれども あなたに出来ることも 他の誰かには 出来ないことかもしれない もしかしたらそれは あなたにしか 出来ないことかもしれない ── 気づかないうちに、やってのけているかもしれない。

生け贄峠

こっちへおいでと 誘ってみても きみは見向きも してくれない 何も見えない 奈落の底に ぼくはきみを 突き落とす 生け贄峠は 呼んでいた きみのことを 待っていた ── 魂と引き換えに、得たものとは。

伝染病

目から 口から 鼻から 耳から あらゆるものは 伝染する 恐怖や 思想や 仕草や 習慣が あたかも 自分のもので あったかのように 他人のものが あなたのものへと すり替わる ── なによりも、重篤な病。

過去からの追跡者

自分が投げ出し 逃げた出来事は あなたがそれを やり遂げるまで どこまでも 追ってくる そこでまた 投げ出したら 遠くない未来 またしても 追いかけられるだろう ── 追われることを終わらせるには、立ち向かうしかない。

パラダイム・シフト

昨日まで 当たり前だったことが 明日も通用するわけじゃない 明日当たり前になることも 明後日には無意味になるだろう そうして毎日 法則は変化するのに 昨日と明日の狭間に 飲み込まれた人たちは 昨日の当たり前を 引きずって生き続ける ── 毎日毎日、法則…

深部体温

身体の深く 奥底で 薪ストーブが 燃えている 皮膚は氷のように 冷たいが 確かにそこは 暖かい 人肌よりも 温かい ── 気の溢れる、泉は底に。

念写

頭のなかのイメージを 白い紙に写し出す この時ばかりは わたしの身体は コピー機と同じなのだ 彼よりも動きは劣るが ツギハギだらけの 身体をもたげて それでもなんとか やっている 彼のようになりたいか いいやわたしは そうは思わぬ 彼のやっているのは …

見極める

自分を 他人を 物事を あなたのその目で 見極める 揺るがない その判断は 選択の幅を 大いに拡げる ── 冴え渡る、直感を携えて。