ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ノンプレイヤーキャラクター

凝り固まった日常に 忙殺される毎日 来る日も来る日も 同じことの繰り返し 繰り返していることにも 気付かない あなたの周りに 蔓延っている もしくはあなた 誰かのゲームの 案内人 ── 考えることを忘れた、ゲームの住人。

知の恵み

我々人類は 奇跡的にも 恵まれている 考えるための コンピュータが 備わっているのだから 標準装備でこの待遇は 贅沢が過ぎると いうものだろう 老いて枯れてゆく 世界を生き抜くには 月の裏側の マザーコンピュータを 利用して 何通りもの道筋を 割り出す必…

間違いはどこにもない

自分の求めた答えなら 自分の信じた答えなら 自分の出した答えなら 間違いなんて どこにもない あなたがいま 立って(い)る場所は あなたの選んだ 答えだから ── それが間違いだと、決めつけないで。

片頭痛の峰

落石とともに 雷が鳴る 降り止まぬ雨は ナイフのように 土に突き刺さる 斜面を覆う木々も 折れて倒れて 土に突き刺さる 嵐が止むと 眩しいくらいの 陽の光が 目に突き刺さる ── 平なところなんて、何ひとつない。

フライ・ハイ

高く より高く飛べ 背中に生えた 七色の羽 銀の複眼は 一点を見つめて 遠く彼方の 虹の果てまで ── たとえ羽が、朽ち果てても。

龍の這う地

地上では 龍の這っている 場所がある 息吹を 感じることが 出来たなら そこに身を置くのも 良いだろう いわば この星の 血管だ 偉大な流れは 滞りなく 続いてゆく ── 呼吸を、止めないで。

マインド・コントロール

こころの神殿に踏み入り 乗っ取ろうとする者がいる それはあなたの知らないうちに 起きていることだ どんなに強いこころをもってしても 隙間を見つけて入り込んでくる だからそのような者とは 距離を置くか 関わらないのがいちばん良い 神殿のサイレンが聞こ…

スリーダブル

この記号が現れた時から ぼくらの戦争は始まっていた とても馴染みがあり過ぎて とても身近にあり過ぎて 誰も彼もが気づいていない 銃火器なんて使わない 爆弾さえも使わない 生活に溶け込んだ みんながよく知るあの場所は はじめから戦争をするために 用意…

仮想現実

ぼくらはいつも 眠っていて 決して醒めることのない 夢のなかに居る そして夜に 夢を見て 夢のなかで目を醒ます 朝が来ても 夢は醒めることはない なぜならば あなたが作り出した 現実だからだ ── あなたの意識が、現実となる。

スワロゥテイル・パヴィリオン

どこもかしこも 現をぬかして 夢のなかに 閉じこもっている 万博会場の外では 大変なことが 起きているというのに ツバメの尻尾を 追いかけて それ以外には なりふり構わず ポケットからは 金貨の形の ゴミ屑が ぼろぼろぼろぼろ 割れたクッキーのように こ…

珊瑚礁の亡骸

海の底に沈んで(い)る 珊瑚礁の亡骸を 不思議そうに きみは見ていた ぽっかり空いた 瞳はまるで 魂を失くした 人形のようだ いつの間にか 手に持っていた 七色に光る双眼鏡は きみの見ていた 景色を映した ── 空洞に、なってしまう前に。

テレパスの会話

仮面舞踏会の会場では 他愛もない会話が 繰り広げられている しかしながら そのなかの会話で 声を発している人々は どれくらいいるのだろう 自分では聞こえている つもりでも 側から見たら 棒立ちで向かい合っている だけかも知れない つまり テレパシーを使…

不可視の現実

目には見えない現実が あなたの目の前に 横たわっている 目には見えない現実は いつでもあなたの 側にいる 気づかないふりを して(い)たとしても いつでもあなたの 側にいる 目には見えない現実は 目で見るような ものじゃない 寧ろ見るような ものじゃない …

ハイヤーセルフ・ダイヴァー

宇宙へ行ける 一歩手前 月から見える 天よりの羽 梯子を登って つかまえて そぉっと静かに 音もたてずに 夢に出てきた 地図をひらげて 次の地点に 印をつける さぁまた同じ 繰り返しさ ── 宇宙と、海との地平線。

こころの地平線

こころの地平線は 肉体と魂の 間にある 生き抜くことで より一層 煌めきを増す もしくは何かを 乗り越えたとき 空前絶後の 輝きを見るだろう ── 一生に、たった一度きり。

黒雲

空の海に 敷き詰められた 数多の繭は 生まれ変わる人々に 用意されて(い)る 寝室だ 彼らの眠りが 醒めた頃 光り輝く 陽の矢が地上へ 降って注いで 清めるだろう 生まれ変われぬ人々に 用意されて(い)る 真実だ ── 夜は肉体を休め、昼は魂を休める。

白い狼

オオカミ少年のなかにも 本物の狼はいる 嘘だと周りが 信じはしないが 彼の話は 真実なのだ 嘘つき呼ばわりされた 歩く真実 世の中には 狼の毛皮を被って 悪さをするものも多い ── 薄汚れた空気のなかで、燦然と輝く白い毛並み。

気昇天潔

これから起きることも これから承ることも これから転ずることも これから結ぶことも すべてあなたの 気を高めるもの 天国へ行くために 必要なもの ── すべての瞬間、この繰り返し。

耳鳴りヶ丘

静けさの 向こうに見ゆるは 耳鳴りヶ丘 鼓膜の壁を 突き抜けて 月の光が 降り注ぐ 明るく照らされ 気の動転した ネズミたちも 静かに眠る 耳鳴りヶ丘 誰もが忘れてしまった 深い眠りを 思い出させてくれる場所 ── 喧騒を嫌悪し、閃光も遠慮する場所。

契約者たちの饗宴

悪魔と契約した者たちの 楽しい楽しい宴が始まる ぶどう酒に見える 真っ赤な水は ご存知の通り 生命の水だ 葉巻に見える 煙の草は ご存知の通り 天国を覗く 双眼鏡 ぼくらの知らない ところでは 毎日こうした会合が 人目を忍んで 行われている ── 真っ黒な、…

ノット・デッド・ハート

ぼくのこころは 死んじゃいない 身体は死んでも こころは生きて(い)る それならばいっそ 身体もこころに 取り込んで 思うまんまに すればいい こころが死ぬこと それ即ち 本当の意味で 死ぬことさ ── こころが生きていれば、そこに居なくても生きている。

捨て去ることで掴むもの

捨て去ることで 手に入るものが あるのだとしたら あなたは何を 手放すだろう あなたが捨てた あらゆるものは 手に入れたものに 見合ったものか 自分自身を 捨て去ったならば それに見合ったものは 手に入っただろうか ── 自分を捨て去ってまで、手に入れた…

イージー・Q

押し問答を 繰り広げている こころのなかの 飛行船 このままでは 沈むだの そうでないだの 結局のところ やるかやらないかの 話なのだ ── 答えは単純明快で、はいかいいえのふたつしかない。

発火

滴り落ちた 汗が発火している 水は蒸発するものだが 時たまに 燃え盛ることもある とりわけ 意志の力が そうさせている ── 流れた涙の、道筋も燃える。

プレート・キング

彼らはすべて 知っている 赤い川の 濁流に乗って 目的地へと 向かって(い)る 最果ての島は 月へと繋がる コンピュータ 王が出る幕は まだまだ先だ ── 真っ赤な幕が上がる頃、観客席は真っ青だ。

白波のゆくえ

白く波立つ 泡の数々 消えたその後 どこへ行くだろう また新しい 泡となり 波に乗って 消ゆるのか 泡の一粒にも 一生があるのだろうか ── 輪廻は絶えず、続いてゆく。

因果応報

自分の行いの報いは 後で必ず巡ってくる 善いものも 悪いものも だから 悪いものを少しでも 減らすために 厳かに 生きる必要があるのだ 悪いものが たくさん巡って 来るのであれば あなたが 自分に嘘をついて 生きて(い)る証拠だ ── 行動と結果は、必ず結び…

生命の期限

普段見えないが パック詰めされた 食べ物のように 背中に期限が 書かれている者が居る 恐らく大半の者かも知れない けれどもそれは あなたが刻印したもので 本来在るはずのないものだ 数字の魔力は 計り知れない ── あなたは生きたいだけ、生きることが出来…

マシン・グラデーション

綴織なす機械の饗宴 行き場を失い彷徨った もどかしさ又は苛立ちは モータープールに放り投げ 波立つオイルの狭間に消えた こねくり回した感情を 錆びた釣り竿で釣り上げて ハートの扉の取っ手にかける 冷たい機械のグラデーション 中身はきっと温かい ── 冷…

猛進する盲信者

いつも身近で在り過ぎたから いつも身近に在り過ぎたから どんなに確かな風よりも 窓から見える景色を信じる 切り取っただけの 景色はまるで 額縁に入れて飾られた 名も無き画家の 絵画のようだ 彼らにとって 紛れも無い現実で 信じて止まないことなのだ 風…