ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

溶岩工場【13-2-2】

着いたわよ

ダンジョウたちの

目の前には

巨大な溶岩生成プラントが

聳え立っていた

ここで生成された溶岩は

この都市のみならず

他の都市にも配給され

また地上に於いての

火山活動の原動力ともなっている

地底帝国を代表するインフラだ

なんだかやっぱり

ちょっと暑いなぁ

辺りは湿度も相まって

蒸し返すような暑さだった

裏口なんてあるのかしら

取り敢えず正面から

行くしかないわね

五人はイモムシカーを降りて

正面の通用門へ向かった

ゲートの前には

真心丸を抱えた

警備員が二人待機していた

ここは関係者以外

立ち入り禁止だ

本当にそうかなぁ

ダンジョウは

警備員の目を見ると

精神ハックを行った

ダンジョウの意識は

目の前の警備員に

トレースされた

かちゃ

もうひとりの警備員に向け

真心丸が向けられた

ここを開けよう

おい血迷ったか

なにを言っているんだ

おれもお前を殺したくはない

どうしちまったんだよ

ダンジョウは操作盤の

スイッチを押し

ゲートを開けた

公安警察の二人は

目を丸くしていたが

良くない使い方ね

テンムスは

ダンジョウの耳もとで

そう囁いた


── 静かに起こる凶行、地底帝国の歌。