ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

工場見学【13-2-3】

なにがどうなっているんだ

コヴは警備員の

不可思議な行動に

困惑していた

味方を撃とうとしましたね

しかも突然

犯人のダンジョウら

飄々としていた

若年の彼とて

口を滑らせれば

まずい状況になると

分かっていた

なにせ相手は

公安警察なのだから

こらこらきみたち

どうやってゲートを

入って来たんだ

ここは関係者以外

立ち入り禁止だぞ

プラントの職員は皆

同じような服装をしているため

部外者がいれば

容易に見分けることが出来た

公安警察のものだが

ゲートの者が通してくれた

なんだと

公安にそんな権限が

あるとでも

実質世界機関の我々に

公安の犬が歯向かうのか

酷い言われようですね

あぁ舐められたものだ

コヴとウナージュは

あまりに散々な物言いに

呆れ返ってしまった

ほれそこまでにせんか

シャオビン総括長

いらっしゃったのですね

あぁ先程出先から

戻ったばかりだ

何やら騒がしいから

見に来てしもうた

シャオビンと呼ばれる

大柄な男は

丸いサングラスをかけており

黒い辮髪棒を被っていた

公安の方々かな

基本的に工場は

見学以外は一般開放

していないのです

何せ危険も付きまといますからな

いくら国家権力と言えど

探偵ごっこの捜査には

こちらも協力しかねます

本日のところは

お引き取り願いたい

いえこちらこそ

勝手に入ってしまって

申し訳ない

仰る通り本日は

お暇させていただきます

コヴは丁重にお辞儀すると

五人は施設の外へ出た


── 平和的解決、地底帝国の詩。