ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

羽化手錠【13-1-3】

不時着した

円盤のなかから

出て来たのは

こちらと同じ編成で

年寄りひとり

男女ふたりの

三人組だった

そのうちの少年は

こちらが半度丸を

構えていることに気づくと

静かに両手を挙げた

ごめんなさい

本当に

こいつが悪いんです

小声で少年は呟いた

どうしてわたしの

所為にするのよ

確かに操作していたのは

わたしだけれども

昔こんなところに

建物なんて無かったわ

もうひとりの女は

きいきい文句を垂れていた

服装的には

この国のものだろうか

そのまた後ろから

年寄りが腰をさすって

ゆっくり出て来た

どうやらこいつが

親玉に違いない

三人とも動かないで

ウナージュは

厳しい顔つきと言葉で

突き刺すように言った

それから

パチンコ玉のようなものを投げた

それは宙を舞い

幼虫のようなものに変化して

それからサナギになって

羽化して蝶になった

まるで蝶の一生を

一瞬で見ているようだった

羽は勾玉から出る

光とよく似ていた

羽ばたいた蝶は

三人の手首に留まると

がしゃりと

手錠がかけられた

なんかとっても

綺麗だったなぁ

見惚れちゃったよ

あれ

これ手錠だったの

ダンジョウは

一連の流れに

頭が追いついて

いないようだった

器物破損と

業務執行妨害で

現行犯逮捕します

ご同行

お願いします

えええええ

逮捕されちゃったの

まぁ仕方ないわよね

起きたことを

正直に話すしかないわ

分かってくれるか

分からないけれど

そうじゃ

ここが警察じゃったのか

運の尽きじゃな


── 犯した罪には償いを、地底帝国の詩。