ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

折れないこころ【5-1-1】

僅かな足場を

渡り終えたクズキリと

テンムスとホージの三人は

奈落の底を見つめていた

師匠

これはもうだめかも

知れないですね

ホージが呆れたように言った

馬鹿なこと言わないで

テンムスが刺々しく言った

彼は必ずここに来るわ

奈落の底の

さらに奥の方から

黄金の閃光が見えた

ダンジョウは

ヘリコプターの羽ように

勾玉光輪を回転させて

奈落の上を飛んでいた

ダンジョウよ

テンムスは歓喜した

少年が三人のいる場所へ

脚を下ろすと

テンムスはダンジョウに抱きついた

ダンジョウは赤面して

テンムスも勢い余って行ってしまった

自分の行動に対して赤面した後

直ぐに距離をとった

無事で良かった

何か言った

テンムスのひとことが

あまりにも小さかったので

ダンジョウは聞き取れなかった

なんでもない

今度は大きい声で言った

テンムスがこれを持たせてくれなかったら

今頃奈落の底の骸骨だったよ

ありがとうね

テンムスはあまり

感謝されたことがなかったので

どう反応していいか分からなかった

クズキリは少し

肩を撫で下ろして

こんかものはまだまだ

序の口だぞ

それでは上へ

どうやら山などに

登っているらしかった


── 何度でも帰ってくる、地底帝国の詩。