ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

何事も無かったかのように【1-4-2】

ダンジョウの八岐大蛇は

目にも止まらぬ速さで

竜人間を喰らい尽くした

ただ残ったのは

彼が使っていた勾玉光輪と

真っ二つになった

ロブスター機械だけだった

ダンジョウは目にも

異彩が宿っていたが

徐々に彼自身の

深緑色を取り戻していった

勾玉光輪の光の渦も

それに伴い弱まっていった

あどけない少年の

表情を取り戻すと

テンムスの側に駆け寄った

ケガをしている

平気よこのくらい

自力で治せるわ

そう言ってテンムスが

少し力を入れると

じわりじわりと

傷が治っていった

きみは何者なの

ダンジョウは驚きながら

テンムスへ聞いた


── そこでは何も起きなかった、地底帝国の詩。