ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

光をその手に【1-3-4】

ダンジョウはこの状況で

目を瞑りながら

ロブスター機械の

向こう側に落ちている

テンムスの勾玉光輪の場所まで

一目散に走った

竜人間はすぐさま

ダンジョウの姿を捉えると

勾玉光輪の刃の一部を

チェーンのように伸ばして

少年目掛けて打ち込んだ

ダンジョウは

目を瞑っているにも関わらず

伸びて来た光のチェーンを

ひょいと避けて

また走り続けた

この時のダンジョウの

走る速度たるや

並みの短距離走選手を

遥かに凌駕する速さだった

竜人間が一瞬呆気に

とられたところを

テンムスは見逃さなかった

顎に掌底を一撃入れると

竜人間の視界は

大きく右往左往し

その巨体はゆらりよろめいた

ロブスター機械の

向こう側にたどり着いた

ダンジョウの手には

テンムスの勾玉光輪が握られ

この世のどの色とも

言い難い色の威光を放った

その光は着実に大きく

強くなっていった


── 少年のこころは強くなる、地底帝国の詩。