ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

こころの絆【2-2-3】

ふたりは

お互いの衣服を

交換し合った

着替えの最中

テンムスは

目がよく見えないが

ダンジョウが

ちらちらこちらへ

視線を送っているのを感じた

テンムスが一喝するも

ダンジョウは

初めて女性の裸を

目の当たりにして

好奇心冷めやらなかったのだ

地底とはいえ

ここは外なので

そんなところで

着替えをしている光景は

側から見れば

かなり異様だ

下手したらそういう風に

見られてもおかしくはない

ふたりは着替えを終え

服のサイズ感が

お互いに丁度いいことに

驚いていた

テンムスはダンジョウに

地底人の化粧を施すと

満足気な顔をした

上手くいきそうな気がするな

テンムスは意気揚々と言った

ダンジョウは最早地底人

テンムスは地上人になり切っていた

ただここからの行動を

気をつけないと

作戦は台無しだ

テンムスは自分の勾玉光輪を

ダンジョウへ託し

ピラミッドの秘密の入り口で

落ち合う約束をした

ダンジョウはひとりになるのが

怖いかったのと

テンムスが何も持たないで

行ってしまうのが

不安だったが

テンムスはテレパス

繋げておくと安心させ

竜人間から追い剥ぎした

勾玉光輪を見せびらかした

きみには迷惑を

かけてしまうことになるが

テンムスは

申し訳なさそうに言ったが

ぼくも助けてもらったし

お互い様だよ

ダンジョウも

申し訳なさそうに言った

ふたりは二手に分かれて

ピラミッドを目指した

しかしながら

先ほどの防壁の破壊を受けて

帝国軍の傭兵が

現場へと向かっていた


── いつでもこころは繋がっている、地底帝国の詩。