ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

生命の鼓動【2-2-2】

ダンジョウは

顔を曇らせた

テンムスが気になり

どうしたのか聞いてみた

わたしたちの

乗っていた機械は

ああ見えても

生命を持っているんだ

いま

ひとつの生命が

潰えてしまった

しようがなかったとはいえ

こころが痛い

テンムスのもつ勾玉光輪は

棘のような紅い光を

僅かに帯びていた

ここからどうしよう

ダンジョウが情けなく言うと

テンムスは鋭い眼光で

中心にあるピラミッドを

目指すと言う

あれは一体なんなのか

ここは一体どこなのか

ダンジョウが聞いてみると

ここは地底帝国の首都らしい

そして中心に見えるピラミッドは

祭壇と呼ばれる

帝国を統べるものたちのための

建築物のようだ

かつてテンムスも

そこで生活していたようだが

何らかの理由で追われてしまったらしい

もう一度そこへ行くとなると

余程の理由がそこには

あるのかも知れない

ぼんやりとダンジョウは考えていた

テンムスは着の身着のまま

だったようで

化粧や服装も

一瞬で元女王であることが

ばれてしまうようなものを纏っていた

ダンジョウはふと

とんでもないことを言い出した

服を交換すれば

ばれずに済むんじゃないかな

この作戦は

流石に無理がありそうだったが

他に思いつく方法はなかったので

テンムスはやってみることにした


── 駄目なら次の方法を、地底帝国の詩。