ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

助けを乞う声【3-1-4】

ダンジョウたちの

気配に気づいた子どもたちは

一斉に助けを求め始めた

ダンジョウは

すぐさま勾玉光輪を起動させ

檻を切断しようとしたが

既のところで

タヅクリ博士に止められた

止められた少年は憤ったが

博士は理由をつけて

少年を宥めた

いま助けたとしてどうする

この後傭兵に見つかって

殺されてしまうのがオチだ

そうだけれど

ダンジョウは

やるせない気持ちで

こころのなかがいっぱいになった

それに呼応するかの如く

勾玉光輪から放つ光は

暗い色を伴った

泣く泣く地下牢を後にすると

少年の胸には

忽ち怒りの感情が

込み上げて来た

勾玉光輪は

燃えるような

紅色を帯びていた

こんな酷いことを

平気でやってのける

司祭パウンドめ

ぼくは絶対に許さない


── 逆巻く怒りが少年を包み込む、地底帝国の詩。