ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

救難信号【2-3-4】

テンムスは即座に

勾玉光輪から光の波を

繰り出して

迫り来る帝国軍の傭兵に

応戦しようとしたが

いまの自分の姿から

勾玉光輪なるものを

出してしまえば

余計に怪しまれることは

目に見えていた

ここはおとなしく捕まって

後々様子見と行こうと

テンムスはこころのなかで

作戦を練った

これは男物だな

傭兵のひとりがそういうと

本体が何処かへ潜んでいるぞ

探せ

分隊長のような人物が言った

ダンジョウヘ

捕まってしまったことを

テレパスで報告した

頭のなかに聞き覚えのある声が

響いた瞬間

ダンジョウの身体のエンジンは

すぐさま起動した


── 助けを求める声がする、地底帝国の詩。