ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

街の情勢【2-3-2】

わしはタヅクリ

こんな老ぼれでも

皆からは博士なんぞ

呼ばれておる

タヅクリ博士は

何の研究を

しているのだろう

ダンジョウが

そう思った途端

わしは意思について

研究をしておる

所謂心理学のような

類の分野じゃな

まるでこころのなかを

読まれたように

ダンジョウの

知りたかった情報を

目の前の老人は

言葉にした

その分野であれば

読心術も会得している

かも知れないと

ダンジョウは

妙に納得した

遅れましたが

助けて頂き

ありがとうございます

丁寧にお礼を言うと

街にはあのような

傭兵がいつも

立ち尽くして

いるのでしょうか

街の情勢について聞くと

司祭パウンドの独裁によるものだ

とのこと

それは悪い人間なのでしょうか

続けて聞くと

弱さ故の過ちじゃろう

哀れみを込めた

答えが返って来た

以前の女王の方が

よっぽどこころの

強い者じゃった

テンムスですね

なんじゃ知り合いか

ええちょっと

ダンジョウは

照れ臭そうに言った

それなら話は早い

タヅクリ博士は

意気揚々に言った


── 共通の知り合いは心強い、地底帝国の詩。