ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

鏡に映る姿【3-3-3】

その時だった

テンムスの脳内には

咄嗟に鏡のイメージが

浮かび上がった

それは見覚えのある

母との思い出の鏡だった

更に強く念ずると

テンムスと

パウンドの間には

その思い出の鏡が

出現していた

鏡はパウンドの全体像を

映し出していた

パウンドは

鏡に映る自分の姿を

強く拒むと

そのまま心力を込めた

勾玉光輪の刃で

鏡をかち割ってしまった

破片は四方八方に

飛び散って

そのまま四方八方の都市への

ポータルが開き

それぞれの破片は

ことごとく吸い込まれてしまった

テンムスが気絶すると

身を隠していた

ダンジョウたちは

一瞬姿を現して

テンムスを抱えて

その場を後にした

おのれタヅクリめ

パウンドの身体は恐怖に

打ちひしがれるように

または武者振るいをするように

小刻みに震えていた


── それは抱えたものの重さ、地底帝国の詩。