ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

最善のルート【3-3-4】

博士

テンムスが

息をしていない

わしは医学を

僅かに齧ってはいるが

医者ではないからのう

とぼけた回答に

ダンジョウは

苛立ちを覚えたが

人には得手不得手

というものがある

ただ少年は

頭ごなしに

無理だと言うことは

大の嫌いだった

この地底には

医者なんているのかい

いないことはないが

よほど重症でない限り

滅多に利用することはないな

大抵自分で治してしまう

ことの方が多いの

だから医者は

隠居しているものが多いな

場所も定かではない

それじゃあ困るんだよ

少年はカメレオン型を

操作しながら

最善の方法を模索した

そこでふと

宇宙と交信している最中に

頬をかすめた情報を頼りに

テンムスの応急処置を

試みることにした


── 助かる生命のある限り、地底帝国の詩。