ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

形勢逆転【3-3-2】

テンムスの放った

光の刃は

パウンドへは届かずに

テンムス自身に

突き刺さっていた

急所は逸れたが

再起不能になるには

充分な痛手だった

そのまま大広間の

石畳みの上に

力なく横たわると

想像以上の痛みに

悶絶し声も出せなかった

死角を死角として

おくと思ったか

パウンドは

威圧感のある鋭い目で

テンムスを見下した

そして

傷口を足蹴にし始めた

テンムスは吐血し

気絶寸前だった

後でいたぶり殺してやろうと

思ったが

気が変わったぞ

そこまで死にたいのならば

今すぐに抹殺してやるわ

殺意と憎悪に満ちた

この世のものとは

思えぬ形相で

パウンドは

自身の勾玉光輪を起動させ

テンムスの眉間を目掛けて

今まさに振り下ろそうとしていた


── 万事休す、地底帝国の詩。