ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

星々のネットワーク【3-3-1】

心力を頂回復させた

ダンジョウは

気を取り直して

カメレオン型機械の能力を

再度発動させた

祭壇の内部も

都市の外壁同様

迷宮の構造をとっていた

都市に入る前に使った

自身の能力が

使えるかどうか試すために

レンガ作りの壁を探した

だがしかし

一向に見つからなかった

弱った少年は

再度宇宙への交信を始めた

先ほど頂回復は

行ったじゃろう

博士も怪訝な顔をして

少年を見守った

少年の目には星図

映り込んでいたが

鼻からは

血が滴り落ちていた

言い忘れておったが

宇宙との交信は

あまり頻繁に行うと

身体に負担がかかるぞ

下手すれば

生命の危険を伴うこともある

戻れなくなる前に

それを肝に銘じておけ

インターネットを

ハッキングするように

祭壇の壁から

宇宙を介して

脳のなかへと

内部の地図をインストール

しようとしていたのだった

一瞬目を閉じ

もう一度開いた

ダンジョウの目は

元通りの深緑色だった

博士

何か書くものはないかい

鼻血を流しながら

慌てて少年は言った

博士は胸元から

万年筆のような

石で出来た筆を

取り出して

紙と一緒に

少年へ渡した

テンムスを見つけた


── 新たな道が拓かれた、地底帝国の詩。