ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

増幅する感覚【6-1-2】

ダンジョウは宇宙の星海に

身体を預けて漂っていた

そしてクズキリという男について

考えていた

もしかすると

実はやつはパウンドの

仲間なのではないか

などあらゆる憶測が

ダンジョウの周りを駆け回った

するとその時

ふたりの悲鳴めいた声が

ダンジョウの宇宙へ

響き渡った

交信を中断して

鏡岩の土地に視界を戻した

ふたりは負傷した痛みに

耐えかねていた

鏡岩はどうやら感覚を

増幅させるものらしかった

そのことを裏付けるように

ダンジョウの疲労

即座に回復していた

他のふたりは痛みで

交信もままならない状況だった

ダンジョウはふと

祭壇内でテンムスの位置を

ハッキングしたことを思い出した

ここは一か八か

ダンジョウは目を閉じて

意識を集中させた

鏡岩の岩肌が

共鳴するように

小刻みに振動していた


── 物事は応用の連続、地底帝国の詩。