ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

精神ハック、マインド・ダイヴ【6-1-3】

ダンジョウは再度

宇宙の星海に身を委ね

周りの鏡岩に意識をずらした

多大なる雑音と美しい響きが

混在していた

雑音のなかから

ふたりの声の周波数帯を

検知しようと試みた

しかしながら

ふたりの帯域は大きく異なっており

まとめ上げるのは至難の業だった

そこでひとりずつの精神へ

アプローチし

精神ハックを行った

ダンジョウはこれを直感を頼りに

行っていたが

マインドダイヴと呼ばれる

れっきとした精神操作法の一種だった

まずテンムスの精神をバックし

痛感をコントロールした

その後テンムスはスムーズに

交信を行い

頂回復に成功した

次のホージだが

ダンジョウが精神ハックを

行うや否や

その存在を気づかれてしまい

拒絶されかけた

両鼻からはまたしても

おびただしい量の鮮血が

鏡の地面へ滴り落ちた

ダンジョウもまた

鏡の地面へ手を着いて

感覚を増幅させた

それに伴い鼻血の量も

増したため

貧血寸前だった

しかしながら

それが功を奏し

ホージの感覚障壁を突破し

痛覚を解錠することが出来た


── 流れた血の分の代償、地底帝国の詩。