ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

公道の脅威【6-2-4】

ダンジョウの瞳には

一瞬星海が映り込んだが

次の瞬間には

別人の瞳だった

それはまさしく

ダンジョウの深緑色の

瞳ではなかった

もしかして

またやったの

なにをじゃ

マインドダイヴよ

ダンジョウは

急激なスピードで

そんなことも

出来るようになっているのよ

でもおかしいと思わない

だってこの間まで

普通の地上人だったのに

いくらなんでも早すぎるわよ

隠れた素質があるのかも知れんな

なによそれ

嫉妬するわ

おい大丈夫か

ああなんでもないよ

ダンジョウの意識は

完全に黄金騎士団の

騎士のひとりを支配していた

そろそろ戻らないと

騎士団員たちは

馬型機械に騎乗し

基地への帰路についた

しかし

その途中

公道を

先ほど見た

自転車かバイクのような

マシンに乗り

物凄いスピードで疾る

暴走族に出会し

ダンジョウが精神ハックしていた男は

勢い余って

落馬してしまった

その瞬間

マインドダイヴ状態が解け

ダンジョウの意識は

彼自身の身体に戻った

ああ

もう少しだったのに


── 手掛かりは掴めず、地底帝国の詩。