ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

怒りの積み石【3-2-1】

ダンジョウが

司祭パウンドへ向けて

憤りを感じていた頃

一方のテンムスは

その司祭パウンドの居る

大広間へ連れて

来られていた

パウンド様

地上の子どもをお連れしました

帝国軍の傭兵のひとりが

パウンドの前へ

テンムスを雑に差し出すと

これこれ

そう粗悪に扱うでない

美しい肌に傷をつけては

こちらの品格が落ちると

言うものだ

相変わらずゲスな話ぶりだ

テンムスはこころのなかで

小声で言ったが

パウンドには聞き取られて

しまっていたようで

暫くの沈黙の後

パウンドはとち狂ったように

怒鳴り散らした

ひと通りぶちまけた後

普段通りのはんなりした表情へと戻り

会話の続けた

さて地上のお嬢さん

ここがどこだか分かるかな

パウンドはとぼけたように言った

わたしの正体を知っているクセに

バカにしやがって

聞こえているぞ小娘

全部わたしの耳に筒抜けだ

いま貴様の正体を明かしてやってもいいが

一瞬にして八つ裂きだぞ

それもまた惜しいからな

後でわたしがじっくり

痛ぶって殺してやろう

つくづくゲスな男だ

そう思いながら口では

エジプトかどこかでしょうか

と言ったが左頬を即座に打たれた

一回

覚えていろパウンド


── 怒りの石が積み上げられゆく、地底帝国の詩。