ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

薄明かりからの強襲【2-1-3】

テンムスが乗っていたような

小型の機械の大群が

空を飛びながら

こちらへ向かって来ていた

よく見ると

蜂のような形をしており

尻には針も

しっかりついている

ダンジョウはそれを見た瞬間

脚元が凍りついてしまった

テンムスがまたもや一喝すると

少年は我に帰り

手をついていたレンガ造りの壁は

スライドパズルみたいに

かしゃんかしゃんと

音を立てて開き始めた

ダンジョウは壁に体重を

かけていたから

壁が開いた途端

向こう側へ倒れ込んだ

そのまた後ろのテンムスも

ダンジョウに体重をかけていたので

壁の向こう側へと倒れ込んだ

ふたりは覆い被さったが

壁も即座に閉じたので

蜂型機械の脅威からは

逃れることが出来た

なんとか撒いたが

また追ってくるぞ

テンムスは冷静に言うと

直感を頼りに

都市へと続く道を編み出し

ダンジョウには

レンガ造りの扉を開けさせながら

進んでいった


── 思いもよらぬ力、地底帝国の詩。