ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

選取見取【14-1-1】

 でかしたぞ、ダンジョウくん


 もうホントに目が回って

 今にも吐きそうでした…


 "三人は何でここに

 向かってきたんだろう"


ウナージュは疑問に思った

店主の手には手錠がかけられ

そこらにあった

イスに縛りつけられた


 これで逃げも隠れも

 出来んだろう


ウナージュは

満足げに店主の状態を見ていた


 これタダでいけるかな

 

 ダメに決まっているでしょう

 なんか払っていきなさいよ


ダンジョウとテンムスが

コソコソ会話を始めた


 ワシが出しとくから

 好きなの選んでおくんじゃな


タヅクリ博士が

お代を肩代わりしてくれた


 いぇ〜い!博士太っ腹〜!


ダンジョウは

博士のお腹をポンと叩いた


 "ワシの扱い

 日に日に酷くなっとらんか?"


博士は心のなかでそう思った


ダンジョウは

都市の入り口で

マフィアたちが着ていたような

黒ずくめの道着を試着しながら

香港映画スターのマネをした


 何それ?


 ぼくの憧れのスターのマネさ

 とっても強くて、カッコいいんだ


 憧れか…


テンムスも試着しながら

憧れの人を思い浮かべた

手に取ったのは真っ赤な

チャイナ服のようなものだった


 似合うかしら


スリットからは

色白の太ももが見え隠れしていた

ダンジョウは噴き出してしまったが

顔を抑えながらサムアップをした


 それは似合うってこと?


ダンジョウは赤面しながら

首を大きく頷けた


 "若いって素晴らしいなぁ"


周りのオトナたちは

皆心を揃えてそう思った


── 束の間のファッションショゥ、地底帝国の詩。