ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

頂回復【3-2-4】

ダンジョウは

まぶたの裏側の

博士の残像を見つめて

内界とやらを

意識してみた

まず理解出来ないのが

宇宙と交信する

ということだ

宇宙は本来

大気圏を超えて

更にその先に

あるはずなのに

内側を意識する

ということと

何か関係があるのだろうか

交信というと

いつの日か

テレヴィジョンで見た

未確認飛行物体を

呼んでいた人間しか

思い浮かばなかった

集中を切らすでない

博士には

少年の行動が

手にとるように

見えているようだった

次は心臓を

意識するようにした

周りの音の

妙な静けさも相まって

心音が徐々に

大きくなってゆくのを感じた

いよいよ

心音が少年の周りを

取り囲むと

血液はマグマと化し

エネルギーが流転して

全身の全細胞が覚醒して

ついに

こころの瞳が開かれた

白目と黒目は

星図に染まり

覗くと宇宙が見えた

ダンジョウには

あまりに長い時間

のように思えたが

目を開けると

ほんの数刻しか

経っていないようだった

あんなに疲労困憊

していたのにも関わらず

眠気も疲労

吹き飛んでいた

それが頂回復じゃ

覚えておけ


── 箱のなかに宇宙などない、地底帝国の詩。