ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

心力について【3-2-3】

怒りに震えた

ダンジョウは

ふと我に帰ると

途端に目眩を覚え

壁にもたれ込んだ

それと同時に

カメレオン型機械の

能力も解けた

無理もない

初めての操縦で

負担がかかって

しまったんじゃ

すまんの

わしは心力を

使えないから

お前が頼みの綱だったのだ

博士は申し訳なさそうに言った

ダンジョウは

肩で息をしながら

ゆっくり首を振った

心力は

こころの力であると同時に

身体を構成する

力でもあるため

心力の消耗は

体力や精神力の

消耗も意味する

回復するには

その生物が

何らかの方法で

外界から

エネルギーを

補給しなければならない

もちろん補給方法や

エネルギーの種類は

その個体毎に異なる

ただひとつだけ

すべての生物で

共通する補給方法は

内界から宇宙へ

繋がることである

宇宙は

生命エネルギーの

宝庫である

この方法を知るものは

睡眠や

食事さえも摂らない

ただ満たされるまで

交信し続けるのである

内界の扉が完全に開いた者は

常に交信し続けることができ

心力を使いながら

その補給までも行い

永久機関を構築することが出来る

それが出来るのは

わしの兄くらいしか知らんな

話が長くなったが

少し目を瞑って

内界を意識するのじゃ

ダンジョウは

言われるがまま

目を瞑って

内界とやらを

意識してみた


── 宇宙がもたらす無限の力、地底帝国の詩。