ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

那我走了【15-4-4】

 身体を心力でコーティングしても

 熱気は伝わってくるなぁ

 


ダンジョウは汗をダラダラかいていた

下を流れる溶岩以外

障壁になるようなものは

なにひとつなかった…

はずだった

 


 なんか輸送路が

 狭まって来ているような

 感じがするのは気のせいじゃろうか?

 


 うん…?

 そうかな…?

 いや、そうかも知れない…

 さっきよりも確かに…って、あれ?

 


ダンジョウは向こうに何かを発見した

北西への輸送路が閉じ始めていたのだ

 


 まずいじゃん!

 早く行かないと、このまま

 閉じ込められちゃうよ!

 こんなところで死にたくないよ!

 


 ダンジョウ!

 急ぐんじゃ!

 


ダンジョウはありったけの心力を

勾玉に注ぎ込み、フル回転させた

ダンジョウの両鼻からは

肉体の溶岩が溶け出していた

 


 くそ〜

 心力をまといながら

 勾玉にフルで注ぎ込むのは

 なかなかキツイ…!!

 心力を使いながら交信が

 出来ればいいのだけれど…

 


ダンジョウはこの時すでに

目からも血が出ており

かなり危険な状態だった

身体はとうに限界を超えており

悲鳴をあげていた

 


灼熱のような暑さで

頭もぼうっとして来た

 


ダンジョウは気がつくと

宇宙に居た

交信する際に見るヴィジョンだ

 


 あれ、いつの間に?

 


星空の一部には

見慣れないモニターが

映し出されており

そこにはテンムスが映っていた

 


 テンムス!

 


テンムスはどうやら

シャオビンと交戦しているらしかった

 


 くそぅ!

 早く行かなきゃ行けないのに!

 

 焦ってはならん

 心力が乱れるぞ

 


 誰だ?!

 


ダンジョウはまったく

聞き覚えのない声を聞いた

しかしながらその声は

どこか懐かしいような感じがした

 


一先ずダンジョウは

精神を統一させ

心力に集中した

 


少しずつだが

肉体の損傷が

和らいでゆくのを感じた

 


 これだ!

 これだよ

 これをもう少し上手く出来れば…!

 


荒削りではあるが

消耗は少しだけ回復できた

 


ダンジョウの意識が

肉体へ戻ると

すぐさま心力の量を上げ

マシンに注ぎ込んだ

 


マシンはキャパシティを越える心力に

耐え切れずにひび割れ始めていた

 


 "頼む…!もってくれ…!"

 


それに気づいたダンジョウは

こころのなかで祈った

そして少しでも早く

このマグマの道を抜けられるよう

尽力した

 


 輸送路が閉じる…!

 


 行げぇええええ!!

 


ダンジョウが吠えた

鼻血のかさぶたからまた出血し

大量の鼻血が出て

息が出来なくなっていた

 


ダンジョウとタヅクリは

ギリギリ閉じかけていた

輸送路をくぐり抜け

北西の都市の

溶岩ダムへたどり着いた

 


ダムのヘリに転げるように

降り立つと

マシンは壁に激突し

粉々になった

半ば墜落に近かった

 


── 決死のフライト、地底帝国の詩。