ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

溶岩滑走【15-4-3】

 やっぱり溶岩の近くは暑いなぁ…

 


ダンジョウは空から降り立った瞬間に

どっと汗を流した

 


一方のタヅクリは

あまり変化がなさそうだ

 


ダンジョウたちが

降り立った瞬間から

辺りには侵入警報が鳴り響いている

 


 溶岩輸送路を移動するんでしょう?

 早いとこ行かないと

 見つかっちゃうよ?

 


 まぁ待て待て

 そんなに焦るでない

 

タヅクリはダンジョウをなだめると

溶岩輸送路の警備を確認した

 


それからボールのようなものを

投げ入れると

ふわふわ浮遊しながら

警備員ふたりに接触した

ビリビリ痙攣しながら

ふたりは感電して気を失った

 


 よし今じゃ

 


 博士っていっつもそういう

 物騒なもの持ち歩いてるの?

 


 さっき手に入れた部品で

 ちょこっとこさえたんじゃ!

 人聞きの悪いこと言うな

 


心力プロペラで

溶岩輸送路の足場に降り立つと

博士は辺りを見回した

 


 あったあった、これじゃ

 


それは点検用のホバースクーターだった

ちょうどエイのような形のマシンだ

 


 ちょっと拝借して…

 


博士はなにやら

内部をいじり出した

 


 なにしてるのさ

 


 あくまでこれは点検用じゃからの

 長距離移動用に改良してるんじゃ

 よし、と

 さ、向かうぞ

 運転は任せた

 


うねる溶岩が

時折飛沫を上げる

まるで口を開けて待つワニのように

 


ダンジョウは

スクーターに勾玉をセットして

心力をマシンに集中させた

 


勾玉が回転し始めると

スクーターは浮かび

徐々にスピードを上げて行った

 


 あつあつあつあつ!!

 


 ダンジョウ!

 心力で身体をコーティングするんじゃ!

 そのままじゃと大火傷

 もとい消し炭になってしまうぞい!

 


ダンジョウはタヅクリに言われた通り

心力を身体にコーティングさせた

タヅクリも不器用ながら行っていた

 


 このまま真っ直ぐでいいんだね?

 


 ああ、道なりに行けば

 北西の都市の溶岩ダムへ

 着くはずじゃ

 


── 新天地への厳しい道のり、地底帝国の詩。