ダンジョウたちは
無事にUFOに乗り込んだ
席に着くと
早速UFOが離陸した
全方位心力ヴィジョンで
まるで席につきながらにして
空を飛んでいる感覚である
観光客たちは
その非日常的な光景を見て
歓声を上げていた
一方のダンジョウはというと
飽きるほど乗って来たので
そんなものには慣れきってしまっていた
それよりも任務の遂行に向けて
緊張が高まっていた
ダンジョウ、緊張しとるのか?
タヅクリ博士が小声で耳打ちする
そりゃそうでしょ〜…
まるで映画みたいじゃないか
最初から映画みたいだったけど
脱出するときまで映画みたいだとは
ぼくは思わなかったよ…
人生は映画みたいなもんじゃよ
楽しんだもん勝ちじゃ
タヅクリ博士はおちゃらけて笑っていた
UFOがプラント上空を通過しかけた時
タヅクリがいきなり席を立った
動くな!
動いたら撃つぞ
(マジかよ…、本気でやりやがった…
演技にしちゃ度が過ぎてる…)
タヅクリはコヴから拝借していた
半度丸を観光客に向けて構えると
鋭い眼光を向けた
ダンジョウは手で顔を抑え
恥ずかしさと申し訳なさを堪えて
博士と同じ行動をとった
動いたら撃ちますよ…
タヅクリは客室乗務員に
半度丸を向けると
扉を開けるよう指図した
お客様困ります…
客室乗務員はそう言いながら
勾玉を取り出したが
それを察知したダンジョウに
半度丸で勾玉を吹き飛ばされてしまった
貴重は操縦中で
勾玉も手も離せない
客室乗務員は乗客へ向けて
注意喚起のアナウンスを流すと
タヅクリの指示に従い
UFOの扉を開けた
物凄い風圧が機内へと流れ込んだ
悲鳴をあげる観光客を他所に
ダンジョウたちは
外へ飛び立って行った
ダンジョウは去り際に
本当にすいません
と申し訳なさそうに
小声で客室乗務員に言った
しかしながらその声は
風の音で掻き消されて
耳には届いていなかった
ダンジョウは
タヅクリの手をしっかり掴むと
上空で心力プロペラを展開した
最初は風圧で掻き消されることも考え
やや大きめに展開した
落下速度が安定してくると
充分な浮力を保てる程度の大きさにし
静かにプラントの溶岩輸送路付近に
降り立った
── 罪悪感に苛まれながら、地底帝国の詩。