ダンジョウとタヅクリは
プラントへ向かう足掛かりを
探していたが
もう人力車は懲り懲りだった
そこで
いちばん初めに
この土地に来た際に
お釈迦にした
UFOを捕まえることにした
UFOであれば乗り心地も良いし
何より怪しまれずに済むのである
ふたりとも
この土地の格好をしていたので
表面上では馴染んでいるように
見えるのだが
やはりどこか
よそ者という感じは否めなかった
博士、地底にはUFO乗り場なんてあるの?
あるぞ
いまそこへ向かっておるのじゃ
まぁタクシーではあるが
地上みたいに止まったりはせんから
どちらかと言うと飛行機の扱いじゃな
そこでじゃ、ダンジョウ
あらかじめ今回の作戦をお主に
伝えておくとするかのぅ
タヅクリ博士は
ダンジョウの耳元で
作戦の内容を耳打ちした
げ…、それさぁ…
まぁ…、
でもそれくらいしか思いつかないか…
ダンジョウは嫌そうな顔をした
ふたりは暫く歩いて
UFO乗り場に着いた
例によってここは観光客で
溢れかえっていた
ダンジョウは
なおさら嫌そうな顔をした
UFOの定員はおおよそ十人前後
といったところだ
二、三組の観光客を乗せると
すぐまた次のUFOが下から現れた
まるで金太郎飴のようだ
UFOはプラントから繋がる
パイプに沿って
地上の火山に出る
不思議なことに
UFOはマグマでは溶けないのだ
マグマのなかに入っても
室内の温度がそれなりに
保たれるようになっている
観光客は言うなれば
地上への観光目的が大多数なのだ
地底の都市間は
迷宮防壁で妨げられているため
都市間のUFOでの移動は
ほぼ不可能に近い
一般の人々は他の移動手段に頼る他ない
ダンジョウたちの順番が巡って来て
UFOの機内に足を踏み入れた
── 地獄の飛行体験、地底帝国の詩。