ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

円盤乗場【15-4-1】

ダンジョウとタヅクリは

プラントへ向かう足掛かりを

探していたが

もう人力車は懲り懲りだった

そこで

いちばん初めに

この土地に来た際に

お釈迦にした

UFOを捕まえることにした

UFOであれば乗り心地も良いし

何より怪しまれずに済むのである

ふたりとも

この土地の格好をしていたので

表面上では馴染んでいるように

見えるのだが

やはりどこか

よそ者という感じは否めなかった

 


 博士、地底にはUFO乗り場なんてあるの?

 

 あるぞ

 いまそこへ向かっておるのじゃ

 まぁタクシーではあるが

 地上みたいに止まったりはせんから

 どちらかと言うと飛行機の扱いじゃな

 そこでじゃ、ダンジョウ

 あらかじめ今回の作戦をお主に

 伝えておくとするかのぅ

 


タヅクリ博士は

ダンジョウの耳元で

作戦の内容を耳打ちした

 


 げ…、それさぁ…

 まぁ…、

 でもそれくらいしか思いつかないか…

 


ダンジョウは嫌そうな顔をした

 

 

 

ふたりは暫く歩いて

UFO乗り場に着いた

例によってここは観光客で

溢れかえっていた

 


ダンジョウは

なおさら嫌そうな顔をした

 


UFOの定員はおおよそ十人前後

といったところだ

二、三組の観光客を乗せると

すぐまた次のUFOが下から現れた

まるで金太郎飴のようだ

 


UFOはプラントから繋がる

パイプに沿って

地上の火山に出る

不思議なことに

UFOはマグマでは溶けないのだ

マグマのなかに入っても

室内の温度がそれなりに

保たれるようになっている

 


観光客は言うなれば

地上への観光目的が大多数なのだ

地底の都市間は

迷宮防壁で妨げられているため

都市間のUFOでの移動は

ほぼ不可能に近い

一般の人々は他の移動手段に頼る他ない

 


ダンジョウたちの順番が巡って来て

UFOの機内に足を踏み入れた

 


── 地獄の飛行体験、地底帝国の詩。