消えた勾玉【10-1-2】
おれこうゆう雰囲気
苦手なんだよな
なんだかジメジメしている感じ
海にも霧がかかっているし
え
海
ここ地底だよね
なんで海があるの
海くらいあるでしょう
テンムスが当たり前と
言わんばかりおかしな顔をした
やっぱりおれの知っている
地底じゃない
あははは
なに笑っているんだよテンムス
わたし
笑ってなんかいないわよ
でも今確かに
笑い声がしたよ
気のせいでしょ
どてっ
テンムスが突然転んだ
痛ったあ
何すんのよダンジョウ
いや何もしてないよ
あ
テンムスは素っ頓狂な声を出した
ない
何が
勾玉が
ない
どっかに置いて来たんじゃないの
あのね
あれはうちに伝わる
秘宝のひとつよ
肌身離さず持っているわよ
やっぱり出るぞここ
幽霊の仕業だ
取り敢えず周辺を捜索してみよう
博士
なんか乗り物ないの
念のため持って来て良かったわい
タヅクリは
カタツムリバイクをUFOに
積んでいた
じゃあおれが運転するから
テンムス後ろに乗ってよね
博士は上から頼む
またワシだけ仲間はずれじゃ
バイクの免許持ってないけれど
必要ないよね
そんじゃ行くよ
ダンジョウは勾玉を
バイクにセットして
光の車輪を回転させた
── 寂れた荒野をバイクは疾る、地底帝国の詩。