ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

朽ちた街【10-1-3】

ダンジョウとテンムスは

タツムリバイクで

道路を滑走した

しかしながら

彼の運転は

あまりにぎこちないものだった

あなた乗り物を

操作したことないの

このままわたしを

殺す気じゃないでしょうね

ぼくは車の運転さえ

したことがないんだよ

仕様がないじゃないか

それにしても

センスってものが

なさすぎるでしょう

うるさいなぁ

じゃあ降りればいいでしょうが

そんなすったもんだを

しているうちに

市街地のような場所にたどり着いた

そうね

ここら辺にありそうな気がするわ

そんなこと分かるの

ええ

探しものをする時には

大体探しているものの

感触や形を想像すると

感覚でおおよその場所が分かるの

じゃあ探し物には

困らないんだね

まあそうね

あまり困ったことがないわね

でも今回は困ったことに

移動しているのよね

どうしたものかしら

移動しているってどうゆうことさ

分からない

家がたくさんあるけれど

これ一軒一軒

回ってゆくの

とても人が住んでいるようには

見えないんだけれど

どこか

人が集まっているところは

ないのかしら

ちょうど良くふたりは

何かの集会場のような場所を見つけた

ごめんくださあい

何よそれ

お邪魔するときのあいさつだよ

あれ

誰も居ないのかな

ふたりが奥へ進んでいくと

所々に年老いた人々が

外を見ながら座っていた


── 死の香り、地底帝国の詩。