ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

同じ視線【10-1-4】

あのお

すいませえん

ここら辺で

こんな形の

円盤みたいなの

見ませんでしたか

ダンジョウは

手で勾玉の形を表現しながら

説明した

しかしながら

誰も反応するものは居なかった

どうしようテンムス

テンムスは

目に留まった老婆に

声をかけてみた

声というよりも

テレパスだった

しかしながら

老婆は決して

彼女の方を見ようとはしなかった

そればかりか

ここに居るすべての人たちが

同じ方向を向いていた

伝説は現実に

現実は祭日に

祭日は終末日

我々はひとつに

世界はひとつに

皆口々に

呪文のように呟き始めた

だめだ

何かに操られているみたいだ

テンムス出よう

あまりにも異様な雰囲気に

ふたりは怯えながら

建物を出た


── 奇妙な文言、地底帝国の詩。