あのお
すいませえん
ここら辺で
こんな形の
円盤みたいなの
見ませんでしたか
ダンジョウは
手で勾玉の形を表現しながら
説明した
しかしながら
誰も反応するものは居なかった
え
どうしようテンムス
テンムスは
目に留まった老婆に
声をかけてみた
声というよりも
テレパスだった
しかしながら
老婆は決して
彼女の方を見ようとはしなかった
そればかりか
ここに居るすべての人たちが
同じ方向を向いていた
伝説は現実に
現実は祭日に
祭日は終末日
我々はひとつに
世界はひとつに
皆口々に
呪文のように呟き始めた
だめだ
何かに操られているみたいだ
テンムス出よう
あまりにも異様な雰囲気に
ふたりは怯えながら
建物を出た
── 奇妙な文言、地底帝国の詩。