ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

暴走族との接触【6-3-2】

ダンジョウは

公道を駆け回る

暴走族へ向かって

大声で叫んだ

すみませぇん

その声は

バイク型マシンの

増幅エンジンの爆音で

かき消された

なんでもよく見ると

それらのマシンは

上下逆さまになった

タツムリみたいだ

ちょうど殻が下になって

なかに勾玉光輪が見えた

そのエネルギーを増幅して

走行するよう設計

されているようだった

地上でいう一輪車が

自走するようになった

といったところだ

それにしても車の類は

一台も走っていない

ダンジョウは

テンムスがテレパス

使えたことを思い出し

彼女にお願いした

あなた精神ハックが出来るのに

それで話しかけることは出来ないの

ちょっぴり叱られたが

出来ないものは出来ないのである

テンムスは目を閉じると

駆け回る暴走族へ向かって

意識を集中させた

テンムスのテレパスに気がつくと

一斉にこちらを振り返った

全員黒いコスチュームに

黒いヘルメットをしているので

顔や姿は判別出来なかった

これでいいの

どうなっても知らないわよ

なんとかなるさ

増幅エンジンの音は弱まり

集団はこちらへ向かって来た


── それが吉と出るか凶と出るか、地底帝国の詩。