ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

未確認浮遊物体【9-3-1】

向こうから

何やら浮遊する

光る物体が

近づいてくるのが見えた

ダンジョウたちは

即座に身構えた

ありゃ上

飛んでいるタクシーだな

ゾニィがつぶやいた

なんでそんなものが

こんな地下に

テンムスが怪訝な顔で言った

間違ってこんなところに

入ってくるわけがないから

誰か知り合いか

なんかじゃねぇのか

テンムスとダンジョウは

顔を見合わせて

もしかして

とふたりとも

同じ台詞を吐いた

とうとう見つけたぞい

ワシを置いてけぼりにしよって

ヒマじゃったから

上のタクシーを拝借して

こんな変なマシンまで

作ってしまったじゃないか

タヅクリ博士は

もう怒り狂っていた

ごめんね博士

でもあそこに博士がいても

多分足手まといだったよ

そうかそうか

ならいいんじゃ

せっかく上まで連れていって

やろうと思ったのに

マシンを見せびらかしただけで

帰るとするかの

博士は本当に怒っていた

連れて行ってもらった方が

黄金騎兵隊にも見つからないから

その方が良いんじゃ

忘れてた

ダンジョウは顔色を変えて

博士に近づくと

さっきの言葉は撤回するよ

ごめんなさい

このまま歩いて行ったら

きっと騎兵隊に見つかっちゃうよ

テンムスからもなんか言ってよ

博士お願いします

テンムスは

何故か少し

色気づいた目をしていた

ゾニィはちらと

横目でそれを確認した

バカにしよって

ワシの凄さを思い知らせてやるから

早よ乗らんかい

ダンジョウたちは

未確認浮遊物体に搭乗した


── 自慢の機械、地底帝国の詩。