ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

無言の再開【8-4-4】

ダンジョウたちは

ギロチヨの遺体の前に

立っていた

ゾニィは変わり果てた

同胞の姿に呆然としていた

ギロチヨはなんか言っていたか

ゾニィが震えた声で

ダンジョウへ聞くと

ありがとう

そう言っていたよ

最期にきみと話しがしたかったって

彼が死んだのは

わたしのせいだ

わたしと約束を交わしたから

アサツキは責任感を感じていた

思い詰める必要はないさ

ゾニィは涙ながらにアサツキへ言った

ギロチヨは約束を必ず守る男だった

最期まで自分の生き様を

貫いたんだな

誇らしげに

しかしながら

悲しみは堪え切れず

ゾニィはただ涙を流した

テンムスも静かに泣いていた

けれどもお前たちとここへ来て

オレは後悔していない

大好きな街の人たちを

守ることが出来たし

研究棟が壊滅したおかげで

研究員のみんなも

晴れて自由の身だ

こんな地下深くなんて

おさらばだろう

ギロチヨはオレが

責任を持って土に還すよ

この惑星で生まれて

そして死んだのだからな

ダンジョウは

彼らが別の種族ではあるが

自分と同じ星の下に生まれたことを

不思議に思い

親近感も感じていた

まるで昔から

知っていたような

そんな感じだった

ありがとう

ダンジョウ

背後から

ギロチヨの声が静かに響いた

残留思念が

微かに見えて

消えていった


── この惑星の土に還る生命、地底帝国の詩。