ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

取り引き【8-1-4】

要件を聞こう

きみが我々と一緒に着いてくるのなら

彼らは解放してあげよう

そうしないのならば

ダンジョウは注意深く

シュトレーンに迫った

そうだなぁ

そこの裏切り者の研究員を

殺すとしよう

シュトレーンはアサツキを指差し

刃の爪を舐めた

分かった

ギロチヨさん

ぼくは大丈夫だから

先へ行っていてくれ

しかし

ギロチヨは困った顔をした

そしてアサツキさんとの約束

守ってあげてよ

ダンジョウは空元気で

無理に明るく振る舞った

よくぞ言ってくれたぞ

ダンジョウくん

これで彼らを解放するな

ダンジョウは怒りを抑えながら

シュトレーンを睨みつけた

だが

裏切り者はやっぱり殺す

歩く包丁の刃が

アサツキに向けられた刹那

辺りには紅の池が拡がった

その鮮血は

ギロチヨから放たれたものだった

ダンジョウとアサツキ

構成員のひとりは目を丸くした

その瞬間

ダンジョウの心力は

オーヴァーヒートし

身体の周りにオーラを纏った

その形はまるで

十本指か十本首の龍だった


── 怒りの顕現、地底帝国の詩。