ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

ギロチヨの遺言【8-2-2】

ダンジョウから出ていた

龍のオーラは

蒸発するように

消えていった

少しふらついてから

ギロチヨの元へ向かった

辺り一面は

血の池が拡がっていた

ダンジョウは

交信による

傷の手当てを試みたが

傷口はあまりにも深く

血の漏出も多量だったため

もう手遅れだった

彼の細胞の世界は

殆どが破壊されていた

肉体から魂が抜け始めていた

遅かった

ダンジョウは震えた声で言った

頼む死なないでくれ

アサツキは涙ながらに言った

約束は

守ったぞ

ギロチヨは最後の力を

振り絞って

掠れ声で話した

最後にゾニィさんと

会って話したかった

ダンジョウ

オレの言葉を

代わりに伝えてくれ

ありがとうと

お前に託した

頼んだぞ

徐々に声は小さくなり

ギロチヨは

息を引き取った

しかしながら

ダンジョウは

彼の気配を感じることが出来た

まだそう遠くない場所で

留まっているようだった


── 肉体を離れても、地底帝国の詩。