ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

見えない入口【8-2-3】

悲しみの余韻が消えぬまま

ダンジョウたちは

鏡の断片のある部屋の

捜索を再開した

彼の亡骸は

置いて行くしかなかった

後で必ず戻ることを誓った

ダウンロードした

地図を確認しながら

断片のある部屋の

上の部屋を目指した

そこと思しき場所へ辿り着いたが

部屋などどこにも

見当たらなかった

どこにも何もないぞ

ダンジョウは冷や汗をかいたが

一瞬で冷静になることが出来た

通路のライトが一瞬だけ明滅すると

壁の一部に光がぼんやりと

浮かび上がっていることに気がついた

蓄光するのか

ダンジョウは

ギロチヨが導いてくれたに違いないと

思っていた

アサツキさん

さっきの薬品まだあるかな

一応予備を持って来ておいて良かった

使ってくれ

蓄光した壁に薬品を

ばしゃりかけると

呻き声を上げながら

壁の一部がべろりと剥がれ落ちた

剥がれ落ちた部分を

覗いてみると

なかには吹き抜けの部屋が

よく見ると中央には

祭壇で見た鏡の断片が

設置されていた


── 屍を越えて見つけたもの、地底帝国の詩。