ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

鏡の断片 Ⅰ【8-2-4】

遂に見つけた

ダンジョウは

吹き抜けの部屋の中央に

鏡の断片のシルエットを捉えた

よし

あとはこのまま降りるだけ

ダンジョウくん

待ちたまえ

アサツキが即座に制止した

おそらく

ここのセンサーは

解除されていないだろう

独立したセンサーが

張り巡らされているはずだ

でもきっと

真んなかはがら空きだぞ

竜巻のように

鏡を守っているはずだ

ありがとう

でもどうしてそんなことが

科学者の勘だよ

彼の背後には

ギロチヨがぼおっと

浮かび上がったように見えた

そういうことなら

ダンジョウは勾玉で

プロペラを発現させると

いつの日かのように

上に掲げて飛行を始めた

そしてセンサーの竜巻の

上空から

鏡の設置面まで

静かに降りていった

あと数センチ

ダンジョウの手は

少しずつ鏡へと伸びていった

ようやく鏡を手にすると

浮上の準備に入った

しかしながら

それより先に

警報装置が働いてしまい

ダンジョウは

鏡ごと何かに覆われてしまった

ダンジョウくん

アサツキの叫びは届かなかった


── 昨日までの希望、地底帝国の詩。