ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

風船配りのピエロ【7-4-4】

どうして戻るんだよ

ダンジョウが不服そうに

アサツキへ八つ当たりした

きみは勾玉のバリアを張って

刃物攻撃を防ごうとしたかもしれないが

そんなことしたら

きみの首は

こう

だぞ

アサツキは首を掻っ切る

ジェスチャーをした

やってみないと分からないじゃないか

世の中にはあえて

やる必要のないことだって

あるということを覚えておいた方が良い

あのままだときみは

確実に死んでいた

でも

いいか

オトナの言うことも

たまには聞くもんだぞ

ダンジョウの言葉を遮って

アサツキは語気を強めて言った

ダンジョウたちは

再度下の階へともどり

装備を整えた

やはりか

あれはどうやら

きみたちが隠れていた

培養カプセルから

放たれた検体のようだ

昨日はそこに居た

今朝も居た

居なくなったのは

ついさっきということだ

きみたちを疑いたいが

現実的には考えられない

そのまま戦闘になって

ここら一帯は破損するだろうし

何より警報だって鳴るはずだ

それにここにあった検体は三体だ

あそこには何体いた

四角に四体

ということはうち一体は

別の場所から来たか

何者かが擬態した可能性が高い

特に気をつけた方が良い

ダンジョウくん

風船は好きか

風船は好きかと聞いている

嫌いじゃないけれど

上の階のエレベーターの

扉が開くと

明るい笑顔で手を振りながら

ヘリコプターのついた風船を操る

ダンジョウたちが居た


── 勝利に向けての第一段階、地底帝国の詩。